VOL.44「15歳と41歳」


 「息子に『メダルを取ったのはお前と同い年だぞ。爪のアカでも煎じて飲ませてもらえ』と説教した数日後、自分と同い年がメダルを獲ってしまった」
 五輪期間中、ツイッターでこんなつぶやき(要約)を見て思わず噴き出した。この2人の「同い年」は言うまでもなく、第22回冬季五輪ソチ大会において、スノーボード男子ハーフパイプで銀メダルを獲得した15歳の平野歩夢(あゆむ)選手と、スキーのジャンプ男子ラージヒルで銀メダルの41歳、葛西紀明選手である。平野選手は日本の冬季五輪メダリスト最年少、葛西選手は最年長の記録をそれぞれ塗り替えた。
 今回の五輪で日本選手団は金1銀4銅3の計8個のメダルを獲得。これは長野五輪の10個に次ぐ数であり、健闘したと言えるかどうかはともかくとして、人々を楽しませた。期間中、山梨県を含む関東一帯は記録的な大雪被害に見舞われ、オリンピックどころじゃないという空気も広がっていたが、テレビやネット等を通じて伝えられる選手たちの活躍には、自分たちが陥っている厳しい状況を一瞬だけ忘れさせてくれる興奮や爽快感があったのは確かだろう。
 それにしても、親子ほどの年の差がある2人が同じ五輪でメダルを獲得できるというのが、スポーツの面白さと、奥深さを実感できる出来事である。今や葛西選手よりもずっと年上になってしまった自分であるが、年齢を言い訳にせず、もう少し鍛え直そうかとも思ったが、とりあえず子どもたちにもっと頑張らせる方が先だな、と矛先を向けることにした。

(主任研究員 河住 圭彦)