VOL.48「健康診断の基準値 ~BMI27は肥満ではない!?~」


 健康診断・人間ドックは早期疾患発見は勿論、多くの方々にとって自身の体と向き合う良いきっかけになっている。ほとんど無頓着な人もいれば、中には検診日の前は体調管理に努め、普段とは違う日常を送るなどという人もいるらしい。いずれにしても、あまり歓迎されない数値を目にすると、多少は気になるのが人情。左右するものは、「前年との比較」あるいは「健康とされる基準との比較」ではないだろうか。
  先日、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会は、150万人のドック健診受診者データをもとに新たな検査値の基準範囲を公表した。それによると、「BMI」「血圧」「コレステロール」等健診基本検査27項目について、従来よりも「健康」とされる数値の範囲が緩和された内容になっている。男性・女性の違い、また年齢によっても基準値に差異があるが、主なものを記すと大まかには以下のようになっている。
 【BMI肥満指標 25→27.7】【血圧 85~130→51~147】
 【総コレステロール140~199→151~280】
 これについて新聞各紙で【「健康」基準ひろげます】【男性の中性脂肪「高くても健康」】といった見出しで報道されたために各所で混乱が生まれている。
 学会と健保連は継続調査を行い、「健診の現場で使える判定基準」を作成していくとしているが、複数の基準は受診者への混乱を招きかねない。細かな数字の紹介は割愛するが、興味ある方はWEB検索でお調べ願いたい。

(主任研究員 末木 淳)