親も育つ子育て


毎日新聞No.421【平成26年10月2日発行】

 二人目の育児は喜び2倍、苦労は4倍なんて話を聞いていたが、我が家でもひと月半前に第二子が誕生し、今まさにその状態を実感している。
 典型的な核家族であり、筆者がフルタイムで働き、妻は専業主婦として家事・育児を主にする。一人目のときも大変だったには違いないが、ある程度は親のペースで育児が出来ていたように思う。
 ところが、二人目出産後の育児となると、日中は母親一人で子ども二人を同時に面倒見ることになる。意思疎通もままならない子どもたちを相手にするため、完全に二人の子ども、それぞれのペースに合わせなければならず、慢性的な睡眠不足や、思い通りに家事をこなす時間が取れないなど、身体的にも精神的にも負担が大きい。
 幸いなことに、筆者の現在の職場環境は育児への理解が深く、健診や予防接種の際の休暇申請には快く許可が出る。しかし、付き添いや託児でサポートを行っているが、妻や子どもと向き合う時間が充分に取れているとは言い難い。
 子育て期における30代及び40代男性の長時間労働を行う者は減少傾向にあり、父親が子育てへ参画しようという意識・意欲も高まってきている。また、夫が家事・育児に関わる時間の長い夫婦ほど、第二子以降の出生割合が高い傾向が見られており、父親が積極的に役割を果たすことが望まれる。

 現在、来年度より施行される子ども・子育て支援法に基づき、都道府県や市町村における子ども・子育て支援事業計画の策定が佳境に入っている。
 子ども・子育て支援とは、国の基本指針によると「保護者の育児を肩代わりするものではなく、保護者が子育てについての責任を果たすことや、子育ての権利を享受することが可能となるよう、地域や社会が保護者に寄り添い、子育てに対する負担や不安、孤立感を和らげることを通じて、保護者が自己肯定感を持ちながら子どもと向き合える環境を整え、親としての成長を支援し、子育てや子どもの成長に喜びや生きがいを感じることができるような支援をしていくこと」とされている。

 子どもを授かったから「親になった」のではなく、子どもと一緒に成長し「親になる」ことが重要なのだ。

(山梨総合研究所 研究員 岡 浩之)