Vol.195-2 高齢化社会
公益財団法人 山梨総合研究所
研究員 岡 浩之
1 はじめに
日本の人口構成を指して「高齢社会」「高齢化社会」などと呼ばれるようになって久しいが、「高齢社会」と「高齢化社会」は明確な定義はないものの、分けて使用される場合が多い。
一般的に「高齢化社会」とは、65歳以上の高齢者人口の比率が総人口の7%を超えた社会を指し、14%を超えると「高齢社会」という。また、21%を超えた社会は「超高齢社会」といわれている。
一方、山梨県を含め我が国では、少子化により年少人口・生産年齢人口は減少の一途をたどっており、高齢者が労働力としても期待される時代へと移り変わってきている。
本稿においては、全国の状況と対比する形で山梨県内の状況の推移をみていきたい。
2 日本・山梨県の高齢者人口の推移
日本は、1970年(昭和45年)に「高齢化社会」(7.1%)に突入した。その後、65歳以上の高齢者人口の比率は加速度的に伸び続け、1994年(平成6年)には「高齢社会」(14.5%)、2007年(平成19年)には「超高齢社会」(21.5%)へと移行している(図1)。
図1 高齢者人口の推移(全国)(単位:千人、%)
各政府統計から山梨総研作成
山梨県においては、図2に示すように、1996年時点で高齢化率は既に17.6%となっており、2003年には21.0%に達し、全国に先んじて「超高齢社会」を迎えている。
なお、高齢化率の推移をみると、全国では1996年15.1%から2013年25.1%と10ポイント上昇しており、同様に山梨県も17.6%から26.6%まで9ポイント増加し、人口の4人に1人は65歳以上となっている(図3)。
図2 人口及び高齢化率の推移(山梨県)(単位:千人、%)
各政府統計から山梨総研作成
図3 高齢化率の推移(単位:%)
各政府統計から山梨総研作成
図4では、平成22年国勢調査の結果に基づいた県内市町村の高齢化率を表している。既に40%を超え、極めて高齢化の進んだ町村もみられる。
図4 県内市町村の高齢化率(単位:%)
平成22年国勢調査から山梨総研作成
図5は、国勢調査の結果及び国立社会保障・人口問題研究所の推計結果に基づいた、県内市町村の高齢化率の推移を表している。各市町村の高齢化率は、県より高齢化の遅い市町村においても、40年間で概ね倍以上になると推計されており、3人に1人または2人に1人は高齢者となる。
図5 県内市町村の高齢化率の推計(単位:%)
平成22年までは国勢調査から山梨総研作成
平成27年以降 出典:日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)
このように、高齢化が全国的にも山梨県においても進行し、また、今後も進行が見込まれるわけであるが、実は、高齢になっても仕事を求める人は多い。
図6は男女別に見た高齢者の都道府県別の就業希望者のグラフである。平成24年の就業希望率は、男性で14.8%、女性で7.2%となっており、平成19年と比べて上昇している。このうち、山梨県は男性3位、女性は5位といずれも全国では上位となっている。
図6 高齢者の男女、都道府県別就業希望者比率(平成19年、平成24年)
資料:総務省統計局
図7は65歳以上の就業率の推移であるが、こちらでみても、山梨県の値は全国と比べて高く、また上昇傾向にあり、山梨の高齢者は「働き者」であることがわかる。
図7 65歳以上の就業率の推移(単位:%)
各政府統計から山梨総研作成
図8 年齢別人口構成の推計(山梨県)(単位:%)
国立社会保障・人口問題研究所資料から山梨総研作成
3 期待高まる高齢者の労働力
少子高齢化などといわれるように、高齢者人口の増加が進む一方で年少人口は減少し、生産年齢人口にも影響が及ぶ。
山梨県では、2010年に13.4%であった年少人口の割合は、今後も減少が続き、2040年には10%を割り込む見通しにある。一方、高齢者人口の割合は、24.7%から38.8%へと 1.5 倍以上に増加するとみられている。
高齢者人口の就業率の増加傾向は、今後も続くことが予想されており、健康寿命の伸長とも相まって、これまで以上に高齢者の労働力が期待されている。
○主な参考資料
- 総務省「人口推計」(平成26年10月1日現在)
- 総務省「国勢調査」
- 総務省「労働力調査」
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の詳細推計人口(平成25年3月)」