ご当地キャラクターへの期待
毎日新聞No.432【平成27年3月6日発行】
1980年の地方博覧会ブームで作られたキャラクターに端を発すると言われるご当地キャラクター。今や、日本全国で数多く活躍している。
「八百万の神々」という言葉があるように、日本には古来より、自然万物のあらゆるものや現象に神様が宿るといった独特の観念が根付いている。こうした土壌が、各地の名物、特産品などをモチーフとしたキャラクターが作られた理由、また抵抗なく受け入れてきた理由と考えられている。
2007年に開催された「国宝・彦根城築城400年祭」のイメージキャラクターとして登場した「ひこにゃん」によってブームに火が付けられ、その後も「くまモン(熊本県PRマスコットキャラクター)」や「ふなっしー(千葉県船橋市非公認キャラクター)」などが登場し、その人気もさることながら、経済効果も計り知れない。
さて、山梨県内にも、県の観光キャラクターである「武田菱丸」、みなさまの縁をとりもつ隊のマスコットキャラクター「とりもっちゃん」、自治体公式キャラクターでは、韮崎市の「ニーラ」、笛吹市の「フッキー」、都留市の「つるビー」をはじめとし、多数のキャラクターが存在している。つい昨年9月にも、甲斐市の市制10周年記念マスコットキャラクターとして「やはたいぬ」が誕生し、至る所に登場しては、市の営業部長としてPRに勤しんでいる。
こうしたキャラクターの多くはまちおこしを目的として生み出され、地域のイベントや行事への参加、住民や観光客との触れ合いなど地道な活動を積み重ねている。この結果、地域の郷土愛の高揚、団結力の向上などが期待されるほか、自治体が発行する広報紙や様々な計画書などに登場することで、行政施策などの内容についても住民に対し伝えやすくなる、受け入れられやすくなることにつながる。
一方で、キャラクターを生み出し、維持していくためには当然費用が必要となる。特に自治体の場合には税金が投入される場合がほとんどである。前述の全国区のキャラクターのような目覚ましい経済効果を求めるわけではないが、費用対効果を高めるなかで、住民に愛され、地域の発展につながる活動を、今後も続けていってもらいたい。
(山梨総合研究所 研究員 岡 浩之)