VOL.58「5億1,386万円」
山梨県がまとめた2014年度の県産果実総輸出額は、前年度比1億5,688万円増の5億1,386万円となり、2008年度の調査開始以来、初めて5億円を突破した。県は、円安や、香港や台湾を中心に県産果実が浸透したことなどが要因とみている。山梨県では、今後も後藤斉知事のトップセールスや、東南アジアに「山梨モール」を設けるなど、海外での販路拡大を目指している。
果物といえば、シーズンとなると、駅や売店など様々な場所で県産果実を販売する露店を目にする。日本人が旅行のお土産として購入するのはもちろんだが、日本人のみならず、外国人観光客も果物を購入する。外国人観光客は、買った果物をその場で食べたり、歩きながら食べたりする事が多い。その光景を見たとき、外国人観光客が日本で果物を購入するということが、不思議というか、新鮮でならなかった。外国人観光客も、日本国内での果物の消費者だった。
果物の最大のPR方法は、食べてもらって味を知ってもらうことではないか。「日本に旅行に行って、山梨というところで果物を食べてとても美味しかった。その果物がまさか自分の国に帰っても食べられるなんて!」と思わせるのも、PR方法の一つだと思う。日本政府観光局(JNTO)による毎月の統計報道発表資料によると、2014年の訪日外客数は前年比29.4%増の1341万人で、過去最高記録となっている。海外でのPR活動も非常に重要であるが、それに併せて、海外から来ている観光客に、日本で、山梨で、山梨県産果実を食べてもらう機会を作ることも販路拡大の足掛かりになるのではないか。
山梨県産果実の輸出額は、調査を始めた2008年度の1億8,884万円から年々増加している。東京電力福島第1原発事故などの影響で2011年度に一時落ち込んだものの、2012年度、2013年度は共に前年度と比べて1億円以上増えている。伸び続けている山梨県産果実の輸出額。5億1,386万円という総輸出額が、県産果実の輸出額の急成長の始まりであることを期待したい。
(研究員 渡辺 和樹)