地域で支えるDr.ヘリ


毎日新聞No.436【平成27年5月1日発行】

 ドクターヘリをご存知であろうか。救急専門の医師と看護師、医療器材を乗せた“救急医療用ヘリコプター”のことである。
 山梨県立中央病院を基地病院に、この4月で運用は4年目をむかえた。読者のなかには、病院の屋上ヘリポートにその白い機体があるのを見た方もいるだろう。また、パタ・パタ・パタと上空を滑るように進むヘリの姿を目撃した方もいるはずだ。
 あらためてドクターヘリを紹介する。通称はドクヘリ、名前はまだない。機体(ユーロコプター式EC135P2+型)の性能は時速が約220km、飛行距離が約600km、南は広島市、北は青森市まで。重さは1,894kg(普通車約1台分)と案外に軽く、この機体に最大6名での乗員が可能。そして、年間400名~500名もの患者さんに対応している。消防本部の支援のもと、一人でも多くの大切な命を救うために。

 さて、このドクターヘリ、意外とお金がかかるらしい。ヘリを飛ばすだけでも、年間(補助金)で約1億9千万円。これを国と県とで折半しているが、足りない場合があると聞く。(社)全日本航空事業連合会の資料によると、ヘリ運航経費は約2億5千万円が必要との試算もある。
 このため、北海道の旭川赤十字病院では、地域の企業が広告スポンサーとなってドクターヘリの運営支援を行っている。具体的には、ヘリの機体にスポンサーの企業名をペイントすることにより、1箇所当たりで年間約100万円の広告料をいただくというものである(現在、7企業・団体)。
 他方、病院は地域イベントへのヘリ派遣や子供たちを集めてのヘリコプター見学会の開催などを行い、ヘリ事業に対する地域住民の理解に努めている。

 そこで、本県でも次のことを提案したい。まず、ヘリの愛称を募集してみてはどうだろう。また、ヘリの展示など「県民の日」にも参加してもらいたい。ヘリ事業への寄付や協賛もお願いできないものだろうか。かけがえのない命を救う空飛ぶ救命救急センターを、地域で支える仕組みを作るために。

(山梨総合研究所 主任研究員 相川喜代弘)