VOL.59「65人」
この4月、新たに県内の病院で臨床研修を希望する医師数が65人となった。内訳は、山梨大学医学部付属病院が36人、県立中央病院が18人、市立甲府病院が6人、甲府共立病院が3人、山梨赤十字病院が2人。これは、平成16年度から始まった現行の医師臨床研修制度において最多となった。
医師不足、医師の地域偏在の解消に向けて、県と山梨大学医学部ならびに県内医療機関が連携した若手医師の県内定着に関する取り組みが着実に根付いてきたものとして、大変頼もしい限りである。
ところで、厚生労働省によると、この医師臨床研修制度は昭和21年の実地修練制度(いわゆるインターン制度)を起点とするもので、もともとは大学医学部卒業後に医師国家試験の受験資格を得るための義務として、「卒業後1年以上の診療及び公衆に関する実地修練」を行うこととされた。
昭和43年にこの実地修練制度が廃止され、医師免許取得後の努力規定として「2年以上の臨床研修を行うように努めるもの」とした臨床研修制度を創設、平成16年の医師法改正では「診療に従事しようとする医師への2年以上の臨床研修」が必修化され、今日に至っている。
この臨床研修の必修化に当たっては、医師としての人格を涵養し、プライマリ・ケアの基本的な診療能力(態度・技能・知識)を修得するとともに、経済的にも研修に専念できる環境を整備することを基本的な考え方として、制度の構築を行っている。
さて、65人の医師は、今後、医業を通じて多くの他人(ひと)様(さま)の人生を垣間見るに違いない。この臨床研修が地域の頼りになる、かかりつけ医への第一歩として、医療の技術習得はもとより、「他人様を診る」ための修業の場となることを切に希望したい。
(主任研究員 相川 喜代弘)