地元グルメを世界に!
毎日新聞No.439【平成27年6月12日発行】
日本政府観光局(JNTO)による毎月の統計報道発表資料によると、2014年の訪日外客数は前年比29.4%増の1341万人で、過去最高記録となっている。また、2015 年4月の訪日外客数は、前年同月比43.3%増、50 万人以上の増加となる176万4千人で、初めて単月として170 万人を突破した。
これからも外国人観光客が増えることが予想されるが、外国人観光客に、もっとアピールしたいと思うものがある。それは、地元の食堂やラーメン屋、居酒屋である。
まずは、食堂。安くてボリュームがあり旨い定食は、外国人観光客にも受けるのではないか。食堂の雰囲気も日本特有であるし、地元に根付く立派なグルメである。
次にラーメン。テレビなどで最近よく取り上げられるが、海外では日本のラーメンがブームとなっている。日本の2倍近い金額でも多くの外国人が食べており、実際ラーメンが目的で日本に来る外国人観光客もいるそうだ。山梨県内にも美味しいラーメン屋が数多くあるので、外国人観光客にもぜひ味わっていただきたい。
そして居酒屋。私の行きつけの店は提灯を店先に釣り下げているのだが、その光に釣られて外国人観光客が入ってくる。彼らにとって居酒屋は日本を感じる場所であるらしく、しきりに写真を撮っていた。また、酔っぱらった地元の客との触れ合いも楽しそうだった。居酒屋で日本のおもてなしを体感してもらいたい。
地元の人にとって魅力的なものを海外から来てくれたお客さんに勧めるのも、おもてなしではないだろうか。実際、海外を紹介する番組で目にするお店は、日本人も行ける地元に愛されるお店が多い。日本人がその国の、その地域の人に愛される食べ物を食べたい感覚は、世界共通のものだと思う。
まずは店に入ってもらう取り組みから始めてみてはいかがだろうか。店の入り口にメニューの写真と簡単な英語の説明や金額を書いたチラシなどを張るだけでも、外国人観光客は入りやすいようだ。
彼らに好印象を与えれば、後はSNSなどで世界中にPRしてくれる。そして、好印象を与える力を、定食やラーメン屋、居酒屋は持っている。
(山梨総合研究所 研究員 渡辺 和樹)