VOL.61 「1987年4月2日~1996年4月1日」


 最近メディアなどでよく取り上げられる「ゆとり世代」。ゆとり教育の期間中に学校教育を受けた世代(1987年4月2日~1996年4月1日生まれ)を指すこの言葉であるが、「ゆとり世代」の社会人の取り上げられ方について思うことがある。「ゆとり世代」の社会人の特徴を調べると、「失敗を恐れる」、「打たれ弱い」、「常に指示待ち」、「上司とのお酒をキッパリ断る」と言われているが、それは「ゆとり世代」の特徴ではなく、「新社会人」の特徴ではないか。
 「失敗を恐れる」、「打たれ弱い」については、誰もが失敗はしたくないし、打たれ強くなるには社会での経験が必要。「常に指示待ち」については、まだ指示が無ければ動けないのだから仕方がない。「上司とのお酒をキッパリ断る」については、上司とのお酒と、友人とのお酒の違いをわかっていないからではないか。どの特徴も、社会人として経験不足故の特徴であるように思う。
 実際、過去に「ゆとり世代」と同じようにメディアなどで取り上げられた世代がある。1961年生まれから1970年生まれと定義される「新人類世代」である。この世代が社会人になりたての頃の特徴を過去の新聞記事から調べてみると、「指示待ちで仕事をしている」、「わがままで粘りがない」、「マイペース過ぎる」、「敬語を使わない」、「突然会社を辞めてしまう」、「宴席で、上司や先輩がいるのに平気で上席に座る」、「酒の付き合いが悪い」などとあった。「ゆとり世代」が言われる事と共通することが多い。
 いつの時代も若者との価値観の違いに上の世代は悩まされている。ただ、「ゆとり世代」への風当たりは、少し強すぎる気がしてならない。「ゆとり」をもって接することも、「ゆとり世代」との価値観のずれの解消につながるかも知れない。

(研究員 渡辺 和樹)