VOL.65 「53年ぶり」


 先日、三菱航空機㈱(愛知県豊山町)は2017年を目途に引き渡しを予定している国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の初飛行(試験飛行)を無事に成功させた。今回は車輪を出したままの飛行であり、離陸後にそれを格納する”完成フォーム”のお披露目は次回以降にお預けとなったが、MRJが離陸した瞬間、何とも言えない感動を覚えた。国産旅客機は1962年の双発プロペラ機「YS11」以来、実に53年ぶりとなる。関係する方々の勇気と熱意、努力に深い尊敬の念を抱いた。
 航空機、航空業界、モノづくりとは無縁な人生だが、勝手に”やればできるよ、日本は”と、日本の技術力に感心しつつ、なんだか嬉しい気持ちになると同時に、今から20年以上前、キャンパス内に貼られた航空大学校の学生募集案内のポスターを見て、「受験してみるか?」などと冗談半分に友人と話したことが懐かしく思い出された。
 ところで、先頃防衛省は、「防衛省男女共同参画推進本部」及び「防衛省女性職員活躍・ワークライフバランス推進本部」において、航空自衛隊の戦闘機、偵察機への女性自衛官の配置制限を解除することを決定した。この決定により、今後は戦闘機のパイロットに女性が登用されることとなる。なお、新聞報道によると本年3月末現在、女性自衛官は約13,000人で全自衛官(約23万人)の5.6%を占める。航空自衛隊ではすでに1993(平成5)年からパイロット候補として女性の採用を始めており、現時点において輸送機や救難機では女性パイロットが活躍しているとのことである。この間、戦闘機に乗ることを夢見た、女性自衛官も多くいたことだろう。
 勇気を持って挑戦し続ければ、道は開かれる。MRJに搭乗出来る日を心待ちにしたい。

(主任研究員 相川 喜代弘)