平和な日々 切に願う
毎日新聞No.452 【平成27年12月25日発行】
暖冬の影響で、本県特有の底冷えする寒い日が少ないからだろうか、あまり実感がわかないが今年も残すところあとわずかとなった。一年が何故にこんなにも早いのかと感じた人も多いであろう。
思い返してみると、今年は1月のフランス新聞社へのテロや過激派組織「イスラム国」(IS)による日本人暗殺などの暗いニュースから始まった。3月にはチュニジアの国立博物館で日本人が犠牲となった銃撃テロがあり、8月にはタイ・バンコクでの爆破テロ、そして11月にはフランス・パリでの同時多発テロと多くの痛ましいテロに見舞われた。天災も多く、5月には鹿児島県口永良部島で噴火があり、6月には箱根の大涌谷で800年ぶりの小規模噴火があった。また、9月には記録的大雨で鬼怒川の堤防が決壊し、茨城県常総市に大きな被害をもたらした。
このようにテロや天災などの暗いニュースが続くなか、9月にはスポーツ界から明るい話題が飛び込んできた。ワールドカップラグビーで日本代表が優勝候補の南アフリカを破った。スポーツ史上最大の番狂わせと言われたこの勝利は、日本国内に大きな感動と勇気を与えた。五郎丸選手のルーティンポーズとともに、今後、語り継がれるであろう。
また、10月には本県出身の北里大学特別栄誉教授、大村智先生がノーベル医学・生理学賞を受賞し、本県民に喜びと誇り、活気を与えた。
思い返してみたら、今年のことだったのか……、と感じる事柄も多い。
明らかに10年、20年前とは社会状況も自然環境も変化している。また来年もさらなる「激動の年」になるかもしれない。もしかしたら「激動の年」という言葉は、日本という国が出来てからずっと人々が感じ続けている言葉(状況)かもしれない。ただ、そこにいる人々の願いには変化はないはずである。本県には83万人の人々がいる。その全ての人々が平和で幸せな日々を願い、2016年を家族や愛する人・大切な人・友人・知人らと共にすてきな時間を過ごし、来年の今頃には、過ぎ去ったできごとを穏やかに振り返られる時間を望んでいるであろう。
来年も本県民に多くの幸せが届きますように。よい年をお過ごしください。
(山梨総合研究所 主任研究員 古屋 亮)