VOL.66 「12年後」
リニア中央新幹線の品川-名古屋間開業まで12年。先日早川町で本線工事に着手する安全祈願式が行われ、いよいよ工事が本格化する。工事費5兆5235億円、全体の86%がトンネル、掘削の残土は5680万立方メートル(東京ドームおよそ45杯分)、品川―名古屋間40分などと言った数字を見ると巨大プロジェクトがいよいよ動き出した感がある。
このリニアの技術、東海道新幹線開業前の1962年(昭和37年)に研究が始まったというから驚きである。巨額の費用と携わった人々を思うと、ようやくここまでたどり着いたというところだろうか。ここから名古屋までの12年を加えると、65年の歳月を要することになる。大阪までなら83年になる。
品川まで20分、名古屋までも20分。中間に位置する甲府は大都市の結節点として必ずプレゼンスを発揮することができると考えている。リニア開業の恩恵を甲府に、山梨県にと、内向きに引っ張り込む発想が多いような気がしてならない。ここは、主眼を外向きに。東京に対して、中京地区に対してこの地が提供できることを考えようではないか。何せ”ちょっと出かけてきます”という時間である。
ビジネスや生活を大きく変える可能性があるリニア中央新幹線の開業。安全祈願式はカウントダウンの始まりである。難工事が予想されている。期間中の無事を祈りつつ「12年後」以降の模索を始めたい。
(主任研究員 末木 淳)