マイクラって何だ


毎日新聞No.462 【平成28年5月13日発行】

 マインクラフトをご存じだろうか。様々なブロックや木材などを使い、建物などの構造物を建設したり、冒険する、小学生の間で大人気のゲームである。以前はレゴブロックに夢中だった我が家の息子も、数年前からマインクラフトの虜となっている。日本で「マイクラ」と呼ばれるこのゲーム、スウェーデンでは想像力を養うのに役立つと学校の授業にも取り入れているらしい。単なるゲームとしてだけでなく、プログラミング教育の入り口としても注目を集めているのだ。

 そんななか、マイクラを使ったプログラミング教室が開催されると聞き、息子を誘って行ってみた。会場では、マイクラを始め、ゲーム開発コースやアプリ開発コースなどが用意されていた。参加者は、毎日6時間、大学生の指導員のもとでプログラミングを体験し、3日目の最終日には自分の作品を発表するという。集中力は続くのか、発表なんてできるのかと心配だったが、みんな昼食の時間も惜しみながら作業に熱中し、得意顔で自分の作品を発表する姿には頼もしささえ感じた。
 それとともに、参加者の多さにも驚かされた。会場には、60人以上の小学生とその保護者、そして約30人の指導員がいた。このような教室の盛況ぶりは、プログラミング教育の必修化が背景にあるのだろうか。中学校に加え、小学校でもプログラミングの必修化を検討しているとの報道もある。日本政府の成長戦略にも盛り込まれており、今後もこの流れは進むだろう。
 現代社会ではあらゆる分野がコンピュータにより成り立っているが、そのコンピュータもソフトウェアがなければ充分には働かない。人工知能の発達もあるが、まだ人間がソフトウェアやプログラムを開発する必要はある。皆がプログラマになる必要はなくとも、その基礎を知っておく必要性は、今後も高まるだろう。

 そういえば、人工知能の発展により、10年後には今の仕事の大半がなくなると予想するリポートがあった。プログラムなんてよく分からんと、アレルギー反応を起こす人もいるだろうが、嫌がってばかりもいられない。まずはマイクラでも始めてみようか。

(山梨総合研究所 研究員 三枝 佑一)