地域の情報、どこから?
毎日新聞No.463 【平成28年5月27日発行】
フリーマガジンやWEBマガジンをよく利用する。フリーマガジンはグルメやイベントなどの情報を得るときに利用している。WEBマガジンは、スマートフォンでいつでも見ることができるため、時間つぶしと情報収集ができ便利である。
さて、富士北麓地域で、WEBマガジン、フリーマガジンで情報発信を行う新たな取り組みが始まっている。今回は2つの取り組みを紹介したい。
1つ目は、「富士河口湖町新聞」。富士河口湖町の情報を発信するWEBマガジンで、町の歴史、町で頑張っている人、移住してきた人などを記事にして発信する地域密着型新聞である。地域情報やグルメ情報など、旬な情報を掲載しており、狩猟グループに同行し取材を行った「マタギの世界に密着取材」、移住者が始めた「森の中のブラウニー専門店」の記事などがある。
2つ目は、7月1日創刊に向けて準備を進めている「シルベ!」。1986年生まれのUターン者の同級生で設立された「株式会社Civic Pride(シビックプライド)」が取り組んでいる富士北麓地域の情報を発信するフリーマガジンで、名前の由来は、「知ろう」を意味する郡内弁「知るべぇ」だそうだ。また、地域の未来を指し示す「標(しるべ)」になりたいという思いや、スペイン語で”役に立つ”を意味する「sirve(シルベ)」にも通ずるとしている。雑誌をきっかけに地域への誇りを持ってもらい、自分が街の一員であることを自覚し、街をよりよくするアクション、「シビックプライド」の醸成を目指している。
実際「富士河口湖町新聞」を読んでみると、地域の新たな動きや、存在自体は知っていたが、それがもつ魅力に気付かされることが多々ある。その要因として、「富士河口湖町新聞」を創刊したのが、東京から来た富士河口湖町地域おこし協力隊の一員であることが挙げられるように思う。地域の内も外も知る人の目線だからこそ、地域住民が気付かなかった、また知らなかった魅力を発信できるのではないか。
「富士河口湖町新聞」、「シルベ!」とも、地域密着で地域の情報を地域住民向けに発信することを目的としている。地域の人が持っていない感覚で、どのような情報が発信されるのか楽しみである。
(山梨総合研究所 研究員 渡辺 和樹)