渋滞の解消は?
毎日新聞No.474 【平成28年10月28日発行】
中央自動車道の小仏トンネル付近の渋滞緩和策として、下り線の3車線化が決定した。上り線の3車線化は、昨年既に着工許可が下りており、完成後は週末になるとよく目にする「渋滞○○Km」という表示も無くなるかもしれない。
県内の観光業にとって大きな追い風になりそうだ。地域経済分析システムRESASによると、北杜市や富士河口湖町の休日の時間別滞在人口は正午をピークに減少する。帰りの渋滞を気にして、昼飯を食べたら帰る観光客が多いのだろうか。都心からの距離が同程度の軽井沢や御殿場のピーク時間は、午後2時、午後3時である。一方、より都心に近いものの渋滞のイメージが強い鎌倉市のピーク時間は正午となっている。渋滞を気にする必要がなくなれば、より多くの観光施設を見学したり、夕飯を食べてから帰ったりする人が出てこよう。県内の観光消費額の増加が期待できるのではないだろうか。実際、渋滞による損失額は年間46億円に上るとの試算結果もある。
経済的な損失だけにとどまらない。せっかく山梨県に来て楽しい時間を過ごしても、帰りの渋滞により楽しさは半減、疲労と不満は倍増しかねない。最近話を聞いた、首都圏と北杜市で2地域居住をしている方も、中央自動車道で渋滞にはまってしまい、家に着くころにはヘトヘトになってしまうそうだ。私も東京に住んでいたころ、山梨に帰って気分一新したはずが帰りの渋滞でとても疲れ、翌日の仕事に影響したこともあったような、なかったような。
一日も早い完成を望みたいが、この工事の完成には10年程度を要するとのこと。リニア新幹線の開業と同じころということで、まだまだ時間がかかりそうだ。
また3車線化とは別に、渋滞解消の切り札として期待されるのが自動運転車である。ときおり事故のニュースも聞くが、どうやら実現に向けて確実に進歩しているらしい。これも実用化はもう少し先になりそうだが、普及が進めば渋滞解消につながるとのこと。
3車線化工事の完成と自動運転車の普及。どちらが先になるのだろうか。いずれにせよ、いつか渋滞は解消されるはずだ。もうしばらくは、イライラせずに安全運転を心掛けよう。
(山梨総合研究所 研究員 三枝 佑一)