VOL.77 「ビッグなデータ」


 国(まち・ひと・しごと創生本部)は、地方創生の実現に向けて、地域が客観的なデータに基づき地域の現状と課題を把握することが重要であり、処方箋である「地方版総合戦略」に位置付けた施策や事業の効果検証を、PDCAサイクル(Plan(計画)⇒Do(実施・実行)⇒Check(点検・評価)⇒Action(処置・改善))によって検証するためのツールとして地域経済分析システム(通称:RESAS(リーサス))を無償で公開(提供)した。このリーサスには、誰もがアクセスすることが可能である。昨年度、内閣府が実施したRESAS活用アイデアコンテストには、地方自治体、高校生・大学生、地域企業、まちづくりのNPOなど、多くの参加があった。
 システムとしては、様々な統計資料(民間データ含む)を【人口】、【産業】、【観光】といった7つの「マップ」と呼ばれるデータに集約し、グラフやモデル図で分かりやすく見える化している点が秀逸である。将来の人口推計を表した「人口ピラミッド」などを市町村単位で見ると“これは真剣に考えないといけない”と、直感的に気付かされる。
 “データは非情だ”、“データは嘘をつかない”などと言われるが、私の感想は“データは案外おもしろい”である。このリーサス、柔軟な発想と鋭い切り口で各種のデータを併用することにより、地域データとして利用するだけではなく、企業活動にも力を発揮すると感じている。読者諸氏におかれては、「リーサス→検索」で地域振興・企業活動に活用していただきたいと思う。あるいは、もう少し力を抜いて土曜日の19:30から放送される『ブラ〇』のようにブラッとデータの中を散歩でもするかのように眺めてみるのも面白い。いずれにしても、触って試してみることをお薦めする。無料で手にすることができる「ビッグなデータ」が身近にあるのだから。

山梨総合研究所 主任研究員 相川 喜代弘