「働き方改革」の契機に


毎日新聞No.485 【平成29年3月31日発行】

 今日は月末の金曜日、先月に続き2回目のプレミアムフライデーの実施日である。給与支給日に近い月末の金曜日の仕事を早く終えて消費を喚起しようと、政府と経済界が主導した企画である。

 先月、東京都内ではさまざまなイベントなどが行われ、仕事を早く切り上げた会社員の楽しむ姿が、ニュース番組などで取り上げられた。山梨県内でも百貨店やショッピングセンターなどがイベントを企画したり、商店街でプレミアムフライデーのスタートに合わせてマップを製作したりする動きがみられた。実際のところ、皆さんの周りでの盛り上がりはいかがだったであろうか。
 プレミアムフライデー推進協議会が先日発表した実態調査結果によると、いつもより早めに帰宅した人は全体の17%、想像していたよりも多いと感じた。ただ、具体的な過ごし方となると、「家でゆっくり過ごした」(46%)が最も多く、「外食・お酒を飲みに行った」(37%)、「買い物・ショッピング」(9%)を上回った。元々の狙いである消費喚起にはつながらず、たまに早く退社できるなら家でのんびりしたいと思う人が多かったのだろう。
 ただ、早帰りした人の88%が、普段とは異なる豊かな時間を過ごすことができたと肯定的に回答している。プレミアムフライデーには経済効果以外にも、一定の効用があることは間違いない。今後はワークライフバランスの推進、働き方改革のきっかけとして考えてはどうだろうか。
 調査結果では、会社は推奨していないが自主的に早帰りした人が9%いる一方、会社は推奨していても早帰りできなかったと答えた人が11%いた。企業による早期退社への協力だけでなく、働く人自身の意識改革も必要だ。不要な会議を減らす、仕事の段取りを見直すなど、無駄な仕事を点検する契機としていきたい。

 さて今日3月31日は年度末の最終日でもある。明日からは新年度を迎え、入社式や入学式のほか、異動などで新しい職場に向かう人も多いのではないか。筆者の職場でも、明日から出向元へ戻る同僚がいる。今日こそ、仕事を早く終えて送別会に行くことはできるだろうか。働き方改革はなかなか難しい。

(山梨総合研究所 研究員 三枝 佑一)