ディズニーに負けるな
毎日新聞No.486 【平成29年4月14日発行】
オリエンタルランドは7日、東京ディズニーランドと東京ディズニーシー(以下ディズニーと記す)の2016年度入園者数(速報)を発表した。それによると、16年度は3000万4000人であった。入園者数の過去最高は、14年度の3137万7000人となっており、近年、入園料の値上げなどで若干の減少傾向にはあるが、依然として年間3000万人を越える入場者がある。他のレジャー施設の入場者数ランキングをみると、2位はUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)で1390万人、3位はハウステンボスで310万人ほどとなっている。ディズニーの入場者数が突出して多いのがわかる。
一方、富士山や八ヶ岳、南アルプスなど、豊富な自然環境を有し、さらに果樹、ワインなどの名産品も多く、自他共に認める観光王国である本県の観光入込客数をみると、年間3100万人ほどとなっている。つまり、ディズニーの入場者数とほぼ同程度である。
確かに、観光入込客数のカウント方法とディズニーの入場者数の実数との違いはあるだろうが、ミッキーマウスが元気に踊るシンデレラ城の前には富士山をはじめとする本県の観光資源もかすんでしまう。
ディズニーと本県の自然資源などの観光資源とは性格が全く異なり、同列に並べるのは間違っているかもしれないが、このディズニーの入場者数の多さは、本県の観光客数の増加に対する示唆を与えてくれる。ディズニーはキャストと呼ばれるスタッフが、職場に対するプライドともてなしの気持ちを常に持ち、温かく入場者に接している。どこに行っても、従業員から理不尽な対応をされることはないはずである。また、アトラクション、ショー、レストランの料理まで入場者が最初から最後までワクワクし、常に満足感を持ちながら楽しめる仕掛けが満載となっている。
もてなしと工夫。工夫と演出は個別に対応するのはなかなか難しいかもしれない。ただ、多くの観光客への対応で疲労していても、観光客に少し鼻につく態度・要求をされようとも、笑顔絶やさず対応するだけで、本県へのリピーターは増加する。これから観光シーズンに向かい、本県ができる一番の観光振興策であると強く感じている。
(山梨総合研究所 上席研究員 古屋 亮)