VOL.82 「40年70兆円29世帯73人」


  40年がかかるといわれている福島第一原発の廃炉。今年4月、日本経済研究センターは福島第一原発事故の対応費用が最大で総額70兆円に上るとの試算結果を公表した。費用の内訳は、除染費用が30兆円、汚染水処理を含めた廃炉費用が32兆円、賠償費用が8兆円となっている。そしてこれら廃炉に掛かる費用は電気料金に転嫁という形で国民負担になる可能性が高い。
 福島県は、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故に伴って全国に自主避難している人たちへの住宅無償提供を今年3月31日で打ち切った。打ち切りの対象者は10,524世帯、26,601人である。避難者の避難先は全国45都道府県に及ぶ。山梨県内では29世帯73人が住宅の無償提供を打ち切られている。自宅を福島に残し、避難先での住宅費の負担は自主避難者にとって大変な経済的重荷となる。
 日本経済研究センターの公表に先立つ3月、前橋地裁は東電ならびに安全規制を怠った国の賠償責任を認める判決を出している。福島第一原発の事故に対して、国に責任があるとの判断が司法によってなされたのである。それにもかかわらず、当の復興を担当する大臣は「自主避難は自己責任」であると考え、あまつさえ「被災地が東北でよかった」と言い放っている。
 福島第一原発の事故は東日本大震災という天災に伴って発生したと考えられがちだが、数々の指摘を軽んじて対策を怠った結果の人災であったと私は考えている。きちんと対策をとる機会はあったのである。被災地の復興は国の責任においてなされなければならない。その責任を全うするのが復興相たるべき人間の果たすべき役割である。

 (主任研究員 小池 映之)