VOL.85 「20代で18.0%」
このほど民間の調査機関(株式会社ネオマーケティング)が行った「自己肯定感(※)」に関する調査(WEBアンケート方式による全国1,000名(20代・30代・40代・50代・60代以上の男女の各100名)によると、自己肯定感が高い(「とても高いと思う」と「高いと思う」の合計)世代は60代で64.5%、次いで50代が50.5%に対し、30代が34.0%で最も低く、次いで20代が36.5%となり、回答者全員に占める自己肯定感が高い人の割合は448名(44.8%)となった。
また、特に20代では「とても低いと思う」との回答が18.0%と、全世代の平均11.5%に比べて6.5%も高く、日本人の自己肯定感が他国に比べて低いといわれるなか、若年世代の低さが顕著となった。
こうしたなか、自己肯定感の低さと自殺企図の高さとの関連性を指摘する声もある。
厚生労働省の自殺対策白書によると、若い世代の自殺は深刻な状況にあり、年代別の死因順位をみると15~39歳の年代の死因の第1位は自殺となっている。男女別にみると、男性では10~44歳において死因順位の第1位が自殺となっており、女性でも15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっている。ちなみに40歳以降では悪性新生物が死因の第1位となっている。
近年、自治体では自殺対策に関する条例を制定するなど、自殺防止への取り組みは各方面から進められているが、“自分は大切な存在、自分は価値ある存在”との自己肯定感を高めるための取り組みと、日本人には苦手な“困った時には遠慮なく安心してその声を上げる”ための意識改革が、とりわけ若年層には必要ではなかろうか。
次代を担う若い世代への自殺防止対策は待ったなしである。
※自己肯定感とは、自分を肯定する感覚として「自分は大切な存在、価値ある存在だ」 と感じる心の感覚をいう。
山梨総合研究所 主任研究員 相川 喜代弘