進化するドクターヘリ


毎日新聞No.494 【平成29年8月4日発行】

 山梨県が平成24年4月にドクターヘリを導入してから5年が経過した。
 山梨県ドクターヘリとは、山梨県立中央病院(以下、「中央病院」)を基地病院として大けが、大事故、急病などで生命の危機があると思われる場合や救急現場で専門の医師の早期診断が必要な場合などに、消防本部からの出動要請によって、中央病院の救命救急センターの医師と看護師がヘリコプターに搭乗、現場到着後に、一刻も早い初期治療と医療機関への搬送を可能とする高度で専門的な救命救急医療体制を言う。
 県はこのほど、ドクターヘリの機能の強化に向けて、中央病院敷地内の地下に燃料備蓄施設を新設し、10月末から病院屋上に駐機するヘリコプターへの給油を可能とするための予算措置を決めた。

 この決断には次のとおりWIN・WINが期待できる。
 これまでは給油のため、中央病院から学校法人日本航空学園双葉ヘリポートへ往復していたが、給油に要する時間が短縮され、新たな患者さんへの迅速な対応が期待できる。
 また、屋上での給油が可能となるため、給油のための離着陸という危険も無くなり、ヘリコプターの安全運行上からも喜ばしい。更には、大規模災害時などにおける県消防防災ヘリや県警ヘリへの給油も想定され、他県からの応援ヘリコプターの効率的な受け入れも可能となる。平時における対応のみならず、他県への災害応援も含め、燃料の確保はヘリコプターが持つ機動力の発揮における重要な課題の一つである。

 今回の基地整備により、ヘリ燃料の絶対量の確保が図られ、かつ、給油ポイントが増えることから、平時の山梨県ドクターヘリの更なる活躍と災害時の航空防災機能の強化が期待される。

(山梨総合研究所 主任研究員 相川 喜代弘)