「制度のはざま」にいる人たち


毎日新聞No.510 【平成30年3月16日発行】

 好景気が続いている。あと少し経過すると、戦後最長となるそうだ。でも、全ての国民が豊かな生活を送っている、というわけでもない。

 昨今、気になっているのは、「制度のはざま」や「適用基準」などによりセーフティネットから漏れてしまう人たちの存在である。例えば、「ワーキングプア」の人たちである。適用基準に合った生活保護受給者は、働かなくても最低限の生活費用を給付される。しかし、ワーキングプアは、生活保護費を下回る収入であっても、制度としての支援はない。
 また、「障がい者」と認定されない「障がいを持つ人」たちがいる。発達障害がある人は、他人とのコミュニケーションが円滑に取れないなどさまざまな症状があり、就学段階では公的支援が広がっているが、成人になってからの就業が困難な場合も多い。
 さまざまな理由で親と離れて暮らす児童養護施設の子どもたちも、施設にいる間は保護を受けられるが、卒業すると支援が無いと聞く。高等教育を受ける機会が限られる中で、学費免除だけでなく就学期間中の生活費も支給するという私立大学が出てきたことは大変素晴らしいことであるが、支援を受けることができるのは一握りであろう。
 少し前には、公的施設に入れない低所得者の集合住宅が焼失し、多くの方が亡くなるという事件があった。現在、こうした「制度のはざま」にいる人たちの支援は、NPOや篤志家、社会活動に熱心な企業に依存しているのが実態である。

 財政に余裕のない行政が単独で「切れ目ない支援」を行うのは無理があるが、制度の見直しで改善できる部分もあるのではないか。「生活保護」と「ワーキングプア」について、海外では生活保護費の基準がきめ細かく設定され、わずかでも働けば生活保護の給付よりも所得が増え、生活保護受給者に対して就業への意欲を引き出すことができる仕組みとなっている制度の国もあると聞く。
 金は無くても知恵や時間ならある、という人たちもいる。行政と市民が持っているものを出し合って「制度のはざま」で苦しんでいる人たちの手助けが少しでもできれば、と思う。

(山梨総合研究所 専務理事 村田 俊也