地域ブランドの形成へ


日新聞No.513 【平成30年4月27日発行】

 早いもので新年度がはじまって1か月が経とうとしている。気づけば、もうゴールデンウイーク。連休に旅行を計画している方も多いのではないだろうか。旅行会社のパンフレットや旅行サイトなどを見ながら、どこに行こうか、現地で何をしようか、何を食べようかなどと思いを巡らせながら計画を立てるのは、楽しい時間である。
 一方、旅行者を迎える側の地域では、多くの人に足を運んでもらおうと、農林水産品や伝統工芸品、観光地などの地域資源をブランド化する取り組みを活発に行っている。「地域ブランド戦略」を策定し、地域ブランドにより、地域の活性化を図ろうと取り組む地域も多い。過去には、「一村一品運動」などの取り組みも行われてきた。

 特許庁では、地域の産品等について、事業者の信用の維持を図り、「地域ブランド」の保護による地域経済の活性化を目的として、20064月、「地域団体商標」制度を導入した。18331日現在、626件の「地域ブランド」が登録されており、山梨県関係では、甲州手彫印章や大塚にんじんなど5件が登録されている。
 各地域には、魅力的な地域ブランドが数多くあるが、その差別化は容易ではない。地域の産品等の地域ブランドの差別化を図るためには、「地域性」の打ち出し方やその地域ならではの経験価値の提供が課題となる。つまり、個々の商品などの地域資源のブランド化を進めるためには、まず、地域自体のブランド化が前提となるのではないだろうか。例えば、「京都」と聞くと、歴史と伝統、雅ではんなりとした雰囲気などのイメージを思い浮かべ、京都でつくられた商品や観光地などの地域資源も、そうした地域自体のブランドイメージと相まって、さらにその価値を高めている。企業において、個々の製品ブランドの打ち出しと併せて、企業ブランド、企業イメージを強化していることと同様である。

 しかし、地域のブランド化は、一朝一夕でできるものではない。まずは、そこに住む人々が地域の歴史や文化、伝統、その魅力を深く理解し、愛着と誇りを持って生き生きと暮らしていけるための取り組みが重要ではないだろうか。外から訪れた人は、その地域の人々が生き生きと暮らしていると、その理由を見つけたくなって足を運び、そこでの体験やその地域の産品等が周囲に伝わり、見聞きした人が足を運んでくれる。そうした積み重ねが地域ブランドの形成へとつながっていくのではないだろうか。

(山梨総合研究所 主任研究員 小林 雄樹