VOL.96 「31」


 「31」は、山梨県におけるジェネリック(後発)医薬品の使用割合を、偏差値で表したものである(全国健康保険協会、平成301月実績)。百分率に直すと、全国平均74.3%に対して、山梨県は67.5%であり、47都道府県のなかで46位に沈んでいる。また、国の調査においても、全国平均は70.9%に対して、山梨県は64.9%に止まり、同様に46位となっている(厚生労働省、平成2912月実績)。
 ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に販売される、新薬と同じ有効成分で同じ効き目を持つ価格の安い医薬品を指す。新薬は10年以上の時間と数百億円という膨大な資金を投入して開発されるが、ジェネリック医薬品は既に安全性や有効性が確認された有効成分を使用しているため、短時間かつ大幅に安い金額での開発が可能となり、価格差が生まれている。

 厚生労働省は、この価格差に目をつけ、医療費の削減のためにジェネリック医薬品の普及促進を押し進め、平成25年の47.9%から大幅伸長させることに成功しているが、直近では伸びの鈍化が目立ち始めている。
 医療従事者の間では、「ジェネリック医薬品は最新の医薬製造理論に基づいて製造されるのだから先発よりも優れている部分も多い。」という意見がある一方、「有効成分が同じであっても添加剤や製法が違うのだから、患者の体質によって効果や副作用に差が出るので切り替えにくい。」との意見も根強い。
 このような潮流のなかで注目されているのが、オーソライズド・ジェネリック(AG)である。これは、有効成分だけでなく、添加剤や製法まで全く同じものを指し、主に先発メーカーや、その系列会社が製造していることが多く、メーカーによっては先発医薬品と同一工場、同一ラインで製造することもあるという。
 また、全国健康保険協会の調査では、職業別のジェネリック医薬品の使用割合において、医療従事者が最下位であることも明らかになった。「医療従事者自身はジェネリックに対して懐疑的なのに、患者には積極的に勧めている。」という実態が見え隠れするが、山梨県におけるジェネリック医薬品の使用割合が低いということは、ある意味では、山梨県の医療従事者は患者に対して真摯だと言えるのかもしれない。

 今後のジェネリック医薬品の使用割合の向上は、オーソライズド・ジェネリックの普及と、医療従事者の意識改革がカギを握っているといえるのではないだろうか。

山梨総合研究所 研究員 大多和 健人)

出典
・第5回協会けんぽ調査研究フォーラム「協会けんぽのジェネリック医薬品使用促進に向けた取組」、「ジェネリックカルテ」
・厚生労働省「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向(平成29年度12月号)」