VOL.97 「28度」


 少し落ち着いてきたものの全国各地で記録的な猛暑となっており、7月23日には埼玉県熊谷市で41.1℃まで気温が上昇し、日本歴代最高を5年ぶりに更新した。山梨県内においても、甲府市で5年ぶりに40度を超え、40.3度を記録した。
 この記録的な猛暑により熱中症の症状で救急搬送される方が相次いでおり、気象庁ではこの猛暑を「災害」に位置づけるまでに至っている。

 この猛暑を乗り切るには、エアコンと上手に付き合っていくことが一つの有効な手段と言える。
 エアコンを使用する際、気になるのが設定温度であるが、28度設定がよいと思っている方も多いのではないだろうか。
 環境省によれば、28度は「設定温度」ではなく「室温」であり、また28度という温度自体あくまで目安であって必ずしも28度でなければいけないということではなく、冷房時の外気温や湿度、西日が入るなどの立地や空調設備の種類などの建物の状況、室内にいる方の体調等を考慮しながら、無理のない範囲で冷やし過ぎない室温管理の取り組みをお願いしたいとのことである。
 つまり、冷房の設定温度を28度にしても室内が必ずしも28度になるとは限らず、そういう場合は設定温度を下げるなどして室温を下げるようにし、室温が28度に下がってもまだ暑いようならもっと下げてもいいですよ、というようなことである。
 また、なかには「電気料がかかるから」、「温暖化につながるから」などの理由で、エアコンを使いたくないという方もいるではないだろうか。そのような方には、クールシェアスポットを利用するという方法がある。
 クールシェアは、家庭での無駄なエアコン使用を減らすアイデアとして始まったもので、涼しい公共施設や商業施設などに出掛け、その場所をクールシェアスポットとして共有する取り組みだ。
 クールシェアの取り組みは全国で推進されており、平成30年度、山梨県内では公共施設や商業施設など408か所がクールシェアスポットとして登録されている。登録スポットでは、クールシェア用クーポンを示せば無料ドリンクのサービスや入場料の割引などの特典を得られる施設もある。

 猛暑が続く今年の夏。なるべく快適に乗り切りたいものである。

山梨総合研究所 主任研究員 伊藤 賢造