VOL.100 「38社」
9月下旬、富士山に初冠雪が観測された。9月の観測は6年ぶりとのことである。先週末、富士山の麓を訪れた際には、中腹まできれいに白く染まり、天気も良かったため、その姿には神々しささえ感じられた。
2013年、富士山が、ユネスコ世界遺産委員会によって「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録されてから、今年で5周年を迎えた。世界文化遺産登録後、それまで以上に国内・海外から多くの人々が、登山や観光、教育、ビジネスなど様々な目的で、富士山やその構成資産、周辺地域を訪れている。
世界文化遺産「富士山」は、25の文化資産で構成されており、その中には、“信仰の対象”として、8つの「浅間神社」が含まれている。浅間神社は、富士山が噴火災害を繰り返していた9世紀頃、火の神・浅間大神に鎮火の祈りを奉げるため(浅間信仰)、山麓の甲斐(山梨県)・駿河(静岡県)両国に創建されたのが始まりと言われている。
山梨県神社庁のホームページからは、山梨県内の神社庁が包括している神社の検索ができる。神社名に「浅間」とつく神社を検索してみると、“38社”の神社が該当する。御祭神や由緒沿革、祭事など関係する神社を含めるとその数はさらに多くなる。全国の浅間信仰の神社の数は、約1,300にものぼるそうだ。それぞれの浅間神社に、歴史や祭事などの地域性もあり、調べてみると大変興味深い。
信仰の対象であり、芸術創作の源泉である富士山とその構成資産が身近にある本県に暮らし、そこから、日々の生活の活力やインスピレーションなど様々なものを享受できる環境にあることに改めて感謝したい。
山梨総合研究所 主任研究員 小林 雄樹