VOL.102 「1万件超」
空き家やマンションの空き部屋などを活用して、旅行者らに有料で宿泊場所を提供する「民泊サービス」の全国の届出受理件数が1万件を突破した(観光庁集計、11月16日時点)。本県における届出受理件数は山梨県のHPによれば県全体で83件となっており(11月28日時点)、市町村別にみると、富士河口湖町28件、富士吉田市12件、山中湖村11件、鳴沢村7件、甲府市6件などとなっている。富士北麓地域の4市町村だけで県内総数の約70%を占めており、富士・北麓地域に来る観光客をいかに県内全体に広げていくかという、山梨県における観光の課題の一端がここでも表れた形となっている。
民泊は、訪日外国人観光客の増加と宿泊施設の不足、空き家活用など地方創生としての取り組み、シェアリング・エコノミーの推進、不動産投資の新たな選択肢などの視点から注目を浴びており、国では推進を図ってきた。
しかし、代金を受領して旅行者らを宿泊させることを業として行う場合は、旅館業法に基づく営業許可が必要であり、無許可で旅館業を行う違法民泊への対応や地域住民とのトラブル防止のためのルールづくりが必要であった。このため、国は新たに「住宅宿泊事業法」を制定し、平成30年6月15日から、宿泊させる日数が年間180日を超えないなど一定の要件を満たす場合には、法律に基づく届出を行うことにより民泊の営業を可能とした。この新法の施行により、違法民泊は減少し、当時の届出受理件数2,210件は順調に増加を続けている。
民泊普及の目的のひとつに訪日外国人にかかる宿泊施設不足への対応があるわけだが、もちろん国内の居住者でも利用することができ、予約はウェブ上の民泊仲介サイトから行うのが一般的である。出張や家族旅行における宿泊施設に、民泊を選択肢にいれてみてはいかがだろうか。
山梨総合研究所 主任研究員 伊藤 賢造