VOL.103 「20%」


 昨年の年末、日本の消費を盛り上げたのは、キャッシュレス決済の「PayPay」ではないだろうか。 「PayPay」はスマートフォンの画面にバーコードを表示し、支払を行うキャッシュレス決済手段である。昨年124日からこの決済手段を利用した人に対し、キャンペーン予算を100億円として購入金額の20%をポイント還元するというキャンペーンを開始した。すると当初予定では、今年の331日までキャンペーンを行う予定であったが、予算が上限に達したという理由で、わずか10日間でキャンペーンは終了となった。単純に計算して500億円の経済効果があったことになる。年末でボーナスのタイミング、家電量販店を利用可能店舗としたことで、家電を中心に大きく消費を押し上げたようだ。

 私も実際、利用してみたが、驚くほど簡単に利用できるようになっている。アプリをインストールして、他サイトの登録状況に連携を行えば、5分とかからず利用できる。またお店でもアプリを開き、バーコードを表示させるだけなので、支払時の利用も簡単だ。ポイント還元キャンペーンとあわせて、周知や利用者の獲得といった部分は成功したと言えるのではないだろうか。さらにキャッシュレス決済という観点では、「PayPay」に続き、「LINE Pay」、「楽天ペイ」といった新しいキャッシュレス決済のサービスも同時期にリリースされ、利用者の拡大が図られている。私が、今のところクレジットカードと比較し、「PayPay」の優位性と考えているのは、カード決済の端末を導入する必要がない点である。「PayPay」はバーコード決済のため、バーコードリーダーを利用している一般的な商店であれば、導入費用が抑えられるのでないだろうか。

 山梨県では外国人観光客の増加が著しい状況であるが、外国人観光客の望むクレジットカード以外のキャッシュレス決済の普及が進んでいないという話をよく耳にする。是非この「PayPay」や他のキャッシュレス決済サービスのスタートを契機とし、キャッシュレス決済が拡大し、外国人観光客の満足度向上につながってほしいと思う。

山梨総合研究所 研究員 小澤 陽介