VOL.107 「10%」
政府は2019年10月の消費税率10%への引き上げに伴う景気対策として、キャッシュレス決済等で買い物をした場合のポイント還元を実施する方向で検討を進めている。具体的には中小の小売店にてキャッシュレス決済等で支払いをした場合、買い物金額の一部がポイントとして還元される。消費税増税に伴う景気対策に加え、先進国の中では普及が遅れているキャッシュレス決済の普及も図れると見込まれている。
キャッシュレス決済が浸透するのはいいことだと思うが、今後さらなる普及が予想されるキャッシュレス決済におけるポストペイ(後払い)の代表格であるクレジットカードの使い方にはぜひ注意してもらいたい。
「今日は給料日だけど、今月もクレジットカードの支払が大きいから、あまりお金を使えないな」 。こんな話を耳にしたことはないだろうか。それではどうしてこういった事象が起きるのか分析してみる。
仮にこの人が給料により、クレジットカードの支払を予定しており、給料日を25日、給料を手取20万円、カードの支払日を利用月の翌月28日、先月の利用額15万円で考えてみる。給料日の25日には給料20万円が振り込まれるが、3日後の28日には先月の利用額15万円が引き落としされ、手元に残るお金は5万円になってしまう。当然5万円では生活できないため、不足分をクレジットカードで支払うことになる。こうしてクレジットカードに依存しなければ生活できない人になってしまうのである。
そもそもクレジットカードはその場で現金が減らないため、お金を使っていない気持ちになりがちであるが、実際自分の持ち金は利用分、必ず減少している。特にクレジットカードを利用し始めて間もない人は、こういう錯覚に陥りがちである。
ただ、クレジットカードにはキャッシュレスで決済を行え、現金での支払いではもらえないポイント還元を受けることができるなど、使い方を工夫すればメリットも大きい。 使い始めた頃からクレジットカードとうまく付き合うにはどうすればいいのだろうか。答えは簡単。利用したら、その金額を引き落とし口座に入金する。こうすれば、前述の例のようなことは起こらない。キャッシュレス決済の普及によりクレジットカードを利用する機会も多くなると思うが、「カードを使ったら、入金」という堅実な使い方もぜひ普及してほしい。
山梨総合研究所 研究員 小澤陽介