45年ぶりの祭典開催を願う
毎日新聞No.552 【令和元年11月22日発行】
9月から10月にかけて開催されたラグビーワールドカップに国民が沸き立つなか、第74回の国民体育大会(国体)が9月28日~10月8日にかけて茨城県において盛大に開催された。
この国体では、競技スポーツもさることながら、コンピューターゲームの腕を競い合う「eスポーツ」の全国都道府県対抗選手権が、文化プログラムとして初開催され、熱戦が繰り広げられた。
国体は広く国民の間にスポーツを普及することにより、国民の健康増進と体力の向上を目指し、地方スポーツの振興と地方文化の発展を図ることを目的として開催されているスポーツの祭典であり、そのなかで開催される文化プログラムは、開催県の郷土文化などをテーマとした催しを実施することにより、大会を盛り上げようとするものである。
山梨県では、2031年に開催される第86回の国体を招致する方針を明らかにしている。開催されれば冬季を除き45年ぶり2回目の地元開催となる。小学生の頃、両親に連れられて開会式のリハーサルを見に行ったことを思い出す。
近年の国体の参加者は2万6千人規模で推移しており、前回行われたかいじ国体では3万人に近い参加者が来県したとのことである。国体は、スポーツの振興だけではなく、文化プログラムを通じて山梨の文化や歴史を伝える絶好の機会となる。
国体が成功を収めるには、県、市町村や関係団体だけでなく、県民も一緒になって国体を盛り上げていく必要がある。現在、県では関係団体などと調整しながら、国体招致にかかる手続きの準備を進めているとのことである。また、つい6年前に、県が全国初の試みとして通年開催することした第28回国民文化祭では、県全体が確かな盛り上がりを見せたことは記憶に新しい。
スポーツの祭典の地元開催には、単純計算で47年に1回しか立ち会えないと考えると、なんとも貴重な機会である。地元開催に向けて県には引き続き注力をお願いするとともに、決定したのちには、まだ10年以上先のこととなるが、本県の代表選手や地域の文化活動者などの活躍と、開催地として県全体が「ONE TEAM(ワンチーム)」となって盛り上げていくことを期待する。
(山梨総合研究所 主任研究員 伊藤賢造)