そうだ、スキーに行こう!
毎日新聞No.555 【令和2年1月10日発行】
年末年始の休暇を利用し、家族で長野県白馬村へスキー・スノーボードに出かけた。
スノーボードは学生のころ親しんだものの、2児の出産、育児で10年以上のブランクがあった。次男が3歳になってからは再び家族で雪山へ出かけるようになり、それからは毎冬、定宿を拠点にスノーアクティビティを楽しんでいる。
観光庁によると、国内のスキー人口は1990年代の18百万人をピークに、現在ではスノーボード人口を合わせても5百~6百万人程度まで減っている。「レジャー白書2017」(公益財団法人日本生産性本部)からは、女性のスキー・スノーボード参加率は20歳代をピークに減少し、40歳代にやや微増する傾向が見えてくる。就職や結婚・出産が、スキー場から遠ざける要因になっていることが想像できる。
スキー人口の縮小と温暖化による雪不足も、各地のスキー場経営を困難にしている。報道によれば、長野冬季五輪でフリースタイルスキー・モーグルの競技会場となった長野市の飯綱高原スキー場は、来場者数の減少に歯止めがかからず、今シーズン限りでの閉鎖を決めたという。
スキー・スノーボード離れを食い止めようという取り組みは各地で行われている。19歳のリフト券無料キャンペーンは全国180以上のゲレンデが参加するなど定着しつつある。白馬村など長野県北部にはパウダースノーを求めて長期滞在する欧米系のスキーヤー、スノーボーダーがおり、多言語対応などインバウンド需要に応える環境づくりが進む。営業時間の延長、フィットネスに見立てた運営、他のアクティビティとの組み合わせなどで収益につなげているスキー場もある。かつてゲレンデに通った親世代のブランクをできるだけ短くし、子世代とともに呼び戻す工夫もたくさん出てくるといい。
話は変わるが、「パン好きの牛乳」という商品が2018年に化学メーカーを母体とする食品会社から発売され話題となった。牛乳消費量が減少する中、パンの消費が伸びていることに目を付け商品開発を進めたのだという。大手スーパーやコンビニでは売らず、ベーカリーのみでしか手に入らない希少性も人気を呼び、ヒット商品となった。スキー場にも、まだまだ視点を変えることで復活のポイント、チャンスがあるような気がしてならない。
2018年には14年ぶりに新たなスキー場がオープンするなど、苦境の中に明るい話題もある。スノーアクティビティを収益とする各地の自治体やスキー場による新たな知恵や取り組みが、うまく滑り出すことを期待したい。
(山梨総合研究所 主任研究員 渡辺たま緒)