一丸となって


毎日新聞No.561 【令和2年4月5日発行】

 日本は現在大きな国難を迎えている。新型コロナウイルス(以下ウイルスと略す)の感染拡大により、多くの人が病に苦しんでいる。また感染拡大防止のために行われる様々な施策により、経済活動は低迷し、産業も大きな打撃を受けている。毎日のように新型コロナウイルス関連のニュースが流れているが、そんな中、筆者が非常に頼もしく感じるニュースがあった。

 鳥取にある農機具販売会社は倉庫に保管していた旧マスク工場の設備を再稼働し、不足しているマスクの生産を始めたということだ。この倉庫を取得する際、以前の所有者から「10年周期くらいで大規模な感染症が流行するので、設備を残しておいてほしい」と依頼があり、設備を残していた。一般的に考えれば、設備の維持にもお金が必要であり、また本業ともかけ離れた事業であるので、設備を廃棄する選択肢もあったはずだ。ただ現状のように急速な感染拡大により、マスクが不足している状況では、とても頭が下がる対応をしていただいた。
 また、感染拡大防止のために3月より始まった学校の休校に際し、給食が中止となり、給食用の食材を支給している事業者の方々の経営が厳しいという話が出ている。この状況に対し、未利用の食材の販売を支援し、事業者の方々を応援しようという動きも出ている。たしかに未利用の食材であれば、一般の消費者や個人の飲食店等でも利用可能であり、売る側、買う側に相互に有効な支援と言える。
 筆者にも何かできることがあるか考えたときに、うがい・手洗いをまず思いついた。小さなことだが、自分への感染を防ぐ大きな手段だ。自分への感染を防ぐことは日本全体への感染拡大防止につながる。またうがい・手洗いであれば、基本的には誰にでもできる対策だ。

 冒頭にも述べた通り、日本は現在未曾有の危機的状況にある。しかし先ほどから挙げてきた事例のように、日本国民みんなで力を合わせ、日本の技術を結集し、ウイルスに立ち向かえば、きっとウイルスを抑え込むことができるはずだ。こんなときこそ、まさに日本全体が一丸となって、ウイルスに立ち向かっていきたい。

(山梨総合研究所 主任研究員 小澤陽介)