VOL.119 「86%」


 5月4日、厚生労働省から新型コロナウイルス感染症を想定した「新しい生活様式」が公表された。これは今後も長期的な感染拡大が想定される新型コロナウイルス感染症に備えるため、国の専門家会議が日常生活における実践例を提言したものである。例えば、食事については「料理に集中、おしゃべりは控えめに」とされていたり、働き方についても「名刺交換はオンライン」とまで示されていたりと、かなり具体的な内容となっているのが印象的だ。

 感染症対策のために今までの暮らしを見直そうということで示された「新しい生活様式」だが、世間の受け止め方は前向きで、共同通信社が行った世論調査においては、「新しい生活様式」について「全面的に採り入れたい」「ある程度は採り入れたい」とした回答が全体の86%を占めた。年代別で見ると若年層(30代以下)で88.9%、中年層(40~50代)で90.6%、高年層(60代以上)で80.2%となっており、比較的若い世代の方が高い数字となっているが、どの世代を見ても8割を超えており、積極的に採り入れようとする傾向がうかがえる。
 86%という数字を見た時、驚いたというのが私の正直な感想だ。既に感染症対策はかなり長期化しており、学校も再開されたとは言え、まだまだ予断を許さない状況下で、多くの国民が疲弊しているというのが現実だろう。私自身、外出自粛等を心掛ける中で、以前よりも頻度を減らした生活必需品の買い物に出かけるだけでも少し安堵(あんど)し、今の生活に対して息が詰まっているのだなと自覚する時がある。そのような状況でも、国が示した「新しい生活様式」に対して、世間が前向きに受け入れようとしているのは、新型コロナウイルスに対応してきた中で、感染症対策の意識が以前より高くなっていると言えるのかもしれない。

 感染者数が減少傾向となったことから、5月14日に山梨を含む39県、21日には近畿3府県、そして25日、残る東京など5都道県の緊急事態宣言が解除され、初発令から49日間で全面解除された。ただ、今後においても感染拡大の第2波、第3波が来ることが予想されている。私も来るべき時のために、「新しい生活様式」をできることから実践していくことで、自分を守り、周囲の人を守ることにつなげていきたいと思う。

山梨総合研究所 研究員 清水 洋介