VOL.121 「1日何歩?」


 桜が咲き始めたころ、「外で遊びたいよ!」子どもから本気のお願い。新型コロナウイルスの影響で昨年度末から小学校が休みになり、外出が規制されている状況で友達とも遊べず、コロナストレスがMaxに達している小学生姉妹のエネルギーは、親に向かってくる。これは、発散させないとまずい。自分自身も最近運動不足で、以前のようなランニングだとすぐに体が悲鳴を上げてしまう。そこで始めたのは、散歩も兼ねた子どもとのウォーキング。歩きながら、家族でたわいもない話をするのは、なんだか新鮮で心と体が喜んでいる感じがする。

 歩くことを基本とした、身体の活動量が多い人は、様々な疾患へのリスクを軽減し、メンタルヘルスや生活の質の改善に効果があるといわれている。国民の健康増進の推進に関する基本的な方向や国民の健康増進の目標に関する事項等を定めた「健康日本21(第2次)」によると、1日の歩数の目標値は、2064歳で男性9,000歩、女性8,500歩、65歳以上で男性7,000歩、女性6,000歩となっている。実際にどのぐらいの歩数を歩いているのかを「平成30年 国民保健・栄養調査結果」から見てると、平均値で20~64歳の男性が7,644歩、女性が6,705歩、65歳以上の男性が5,417歩、女性が4,759歩で目標値を下回っていることが分かる。
 それでは、私はいったいどのぐらい歩いているのか。起きている間は、概ねいつも一緒であるスマホで確認してみると月にだいたい25万歩、1日に換算すると8千歩を少し上回るぐらいとなっている。私も全国の男性の皆さんの平均とやっぱり同じぐらいの歩数で、国が示した目標歩数を下回っており、これはもう少し健康に対して意識を高めていかないといけないと感じる。
 今後日本における高齢化率は、団塊の世代の全てが75歳以上となる2025年には、30.0%まで上昇し、団塊の世代の子どもが全て65歳以上となる2040年ごろには、高齢者人口がピークを迎えることが推計されている。長寿社会にあっては、人生を最後まで楽しく健康で自分らしく過ごすことがとても大切なこととなってくる。これには、医療・介護・予防の連携が喫緊の課題であり、予防の観点からすると多くの運動機能の基本である歩くことは、健康増進や維持、精神面への効果、コミュニケーションなど多くの影響を与えるものとなる。
 自分の生涯にわたる健康を維持していくことは、普段からの積み重ねであり、すぐに効果が表れてくるものではない。毎日、少しずつでも歩き続けていくことが将来の自身の健康状態を形作っていくものであり、若いうちからの行動が必要となる。

 コロナを警戒しつつも「新しい生活様式」を受け入れ、小学校の登校を始め、各々が社会活動を再開し始めていることから、ウォーキングしているのは何だか自分1人になっている。1人だと少し寂しい気もするが、年をとっても楽しく自分らしく過ごすため、1歩1歩コツコツと未来の自分への健康積立として、19,000歩を目標に歩いていこうと思う。

山梨総合研究所 主任研究員 河野 彰夫