YAFOメールマガジン VOL.123 2020年9月号


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◆◇◆ YAFOメールマガジン VOL.123 2020年9月号
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■■ インデックス
◆テーマ1
『「甲州の匠の源流・御嶽昇仙峡」日本遺産への歩み
        ~水晶の鼓動が導いた信仰と技、そして先進技術へ~』
【昇仙峡観光協会 会長 芦澤 卓夫】
◆テーマ2
『VUCAの時代の新しい「公(おおやけ)」参加の仕組みについて』
【山梨総合研究所主任研究員 山本 直子】
◆研究員コラム 気になる数字『100年』
◆まちづくり情報 
◆気になるデータ・読み物
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◆テーマ1
『「甲州の匠の源流・御嶽昇仙峡」日本遺産への歩み
        ~水晶の鼓動が導いた信仰と技、そして先進技術へ~』
【昇仙峡観光協会 会長 芦澤 卓夫】
 「甲州の匠の源流・御嶽昇仙峡」(甲府市、甲斐市)が6月、地域の文化財
をまとめて魅力を発信する文化庁の「日本遺産」に認定された。昇仙峡一帯
の山地は、水の塊と信じられていた水晶を産出する水源信仰の地であり、長
い歳月をかけた浸食により形成された大小の滝や巨石、奇岩によって国内有
数の景勝地となっている。産出した豊富な水晶とその加工技術は、匠の技と
して日本一の宝飾産業の基盤となり、さらには電子機器向けの人工水晶製造
技術につながるなど、過去から現代の私たちの生活を支えている。今回、渓
谷をはじめ神社の宝物、伝統芸能など23件について、歴史的な魅力や特色
を通じて伝統を語るストーリーが日本遺産の構成文化財にふさわしいと認め
られた。これを好機ととらえ、歴史を振り返りながら、昇仙峡の魅力をあら
ためて発信していきたいと考えている。
https://www.yafo.or.jp/2020/09/30/12686/

◆テーマ2
『VUCAの時代の新しい「公(おおやけ)」参加の仕組みについて』
【山梨総合研究所主任研究員 山本 直子】
 今の時代を「VUCA(ブーカ)」の時代と表現することがある。
「Volatility(激動)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity
(複雑性)」「Ambiguity(不透明性)」の頭文字をつなげた造語である。
VUCAの時代に生きる私たちは、社会の変化の速さに戸惑うだけでなく、東日
本大震災やコロナ禍により、よりどころとしていた「当たり前」の環境や考
え方があっけなく崩れることを経験した。また、一方ではSNS(会員制交流
サイト)疲れに表現されるように、他人の評価に一喜一憂する生き方に疲れ
が見え始めているようにも感じる。このように、未来がよくなるという期待
を持ちづらく、むしろ先行き不透明ともいえる環境にあっては、だれかがど
うにかしてくれるという「他人ごと」スタンスでいることは、気楽でいられ
るというプラス面よりも、「不安」という呪縛から逃れにくいというマイナ
ス面がより強くなるのではないだろうか。今回は社会とのかかわり、特に身
近な施策を考える行政との関わり方を「自分ごと」の観点から考察し、VUCA
の時代の新しい「公」参加の仕組みについて言及していきたい。
https://www.yafo.or.jp/2020/09/30/12728/

◆研究員コラム 気になる数字 『100年』
 5年に1度の国勢調査が9月14日始まった。今回の国勢調査は21回目で、大
正9(1920)年に第1回が実施されてから、100年目の節目となる。実は、そ
の起源が山梨県と関わりがあることをご存じだろうか。
 国勢調査が行われるようになるまで、日本において全国民を対象とした人
口調査は実施されておらず、人口の統計資料としては、戸籍を基礎とした、
死亡・出生等の届け出による推計人口のみであった。そのような中、「日本
近代統計の祖」と称される杉亨二が「日本が一等国となるために、政府が国
民のことを把握しなければならない」と人口調査の重要性を主張し、調査の
手法や問題点を探るための予備調査として、明治12(1879)年に当時の甲斐
国、現在の山梨県において、「甲斐国現在人別調(かいのくにげんざいにん
べつしらべ)」という人口調査が実施されたのである。この調査は現在の国
勢調査と同じく、調査員が各世帯を調査する形式で、これが国勢調査の先駆
けとなったという。ちなみに、調査の結果としては人口が397,416人で、現
在の山梨県の半分程度であった。
 予備調査として実施された「甲斐国現在人別調」であったが、最初の国勢
調査が実現したのはそれからおよそ40年後のことで、それまでに長い時間を
要することとなった。しかし、国勢調査が行われるようになってからは、現
在まで100年もの間、唯一調査が中止された昭和20(1945)年を除き、国の
最も重要な調査として連綿と続けられてきたのである。これは杉亨二が説い
た人口調査の重要性が理解された結果なのだろう。
 統計資料というのは地味であまり目立たない存在かもしれないが、行政の
政策立案や、企業のビジネス展開において必要不可欠なものである。特に国
勢調査のデータに関しては、どの自治体の総合計画を見ても最初に分析がさ
れており、各自治体が国勢調査を重要な基礎資料として捉えていることが分
かる。私自身、業務で統計資料を数多く見るようになり、その重要性を強く
感じているところだ。
 しかし、近年のプライバシー意識の高まりから、国勢調査の未回収率は増
加傾向にあり、その信頼性の低下が懸念されている。平成12(2000)年調査
時の未回収率が1.7%だったのに対し、前回の平成27(2015)年調査時は
13.1%と、10ポイント以上も増加した。また、今回は新型コロナウイルスの
影響により、調査員との対人接触を避けようと考える人が増え、さらに未回
収率が上がるという声もある。総務省では前回から本格的に始まったオンラ
イン回答について、割合の引き上げを図るなどの対策を行っているそうだが、
回収率の改善につながるかは不透明だ。
 今年はコロナ禍の中での国勢調査となり、人口動向にも大きな影響がある
だろう。8月に公表された7月の人口移動報告では、集計に外国人を加えた
2013年7月以来初めて、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)から他の道府
県への転出が、転入を上回る「転出超過」となったというデータもあり、今
回の国勢調査の結果は、ウィズコロナ・アフターコロナ時代への転換を象徴
する一つの指標になると考えられる。回収率を改善し、調査結果の信頼性を
担保するためにも、かつて杉亨二が説いたように、回答する国民がその重要
性をあらためて認識することが必要なのではないだろうか。
(研究員 清水 洋介)

◆まちづくり情報
・民の力を活かした地方創生推進の手引(9/17 首相官邸 公表)
 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/tiikisaisei/houjin/mintebiki.pdf
・「スーパーシティ」構想について(9/17 首相官邸 公表)
 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/supercity.pdf
・地方消費者行政専門調査会報告書(8/28 内閣府 公表)
 https://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2020/houkoku/202008_chihou.html
・「地域における多文化共生推進プラン」の改訂(9/10 総務省 公表)
 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei05_02000138.html
・産学官連携による地域活性化に関する実態調査(9/11 総務省 公表)
 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_020911000141426.html
・令和元年度の事例集から紹介:全国財務局の地域連携の取組(9/17 財務省 公表)
 https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202009/202009c.pdf
・令和元年度 地域における食育活動の取組優良事例(9/10 農林水産省 公表)
 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/torikumi/r01.html
・官庁営繕事業における生産性向上技術の導入の手引き(9/9 国土交通省 公表)
 https://www.mlit.go.jp/report/press/eizen06_hh_000038.html
・地方公共団体におけるピュア型CM方式活用ガイドライン(9/9 国土交通省 公表)
 https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000718.html
・旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究(2018年版、8/28 国土交通省・観光庁 公表)
 https://www.mlit.go.jp/common/001354466.pdf
・地域金融における小規模事業者の評価動向調査(8/27 経済産業省・中小企業庁 公表)
 https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000086.pdf
・都市の強みの3密変革促す:人口集積と感染症リスク(8/28 独立行政法人経済産業研究所 公表)
 https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/hamaguchi/06.html
・温泉を療養に有効利用したヘルスツーリズム推進とエビデンスの蓄積・共有
 (9/1 独立行政法人経済産業研究所 公表)
 https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/20090001.html
・公務(員)の労働生産性(9/2 参議院 公表)
 https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/r02pdf/202019002.pdf
・地域公共交通の維持に向けて:現状及び近年の施策(9/20 国立国会図書館 発刊)
 https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11542167_po_083605.pdf?contentNo=1
・高齢者の農福連携に関する取組み実態および類型化:高齢者のゆるやか農業・農的活動モデル
 (9/10 一般社団法人JA共済総合研究所 公表)
 https://www.jkri.or.jp/PDF/2020/sogo_81hamada.pdf
・観光と地域交通に関する研究会 報告書(9/17 一般財団法人運輸総合研究所 公表)
 https://www.jttri.or.jp/research/traffic/0731kanko_chiiki_houkokusho.pdf
・都市間ネットワーク構造が感染拡大に及ぼす影響について:TRC EYE Vol.324
 (9/18 東京海上日動リスクコンサルティング 公表)
 https://www.tokiorisk.co.jp/publication/report/trc-eye/pdf/pdf-trc-eye-324.pdf

◆気になるデータ・読み物
・景気動向指数(7月分速報、9/7 内閣府 公表)
 https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
 → 一致指数は、前月と比較して1.8ポイント上昇し、2か月連続の上昇。
・景気ウォッチャー調査(令和2年8月調査、9/8 内閣府 公表)
 https://www5.cao.go.jp/keizai3/2020/0908watcher/menu.html
 → 新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。
・月例経済報告(令和2年9月、9/24 内閣府 公表)
 https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2020/0924getsurei/main.pdf
 → 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、
   このところ持ち直しの動きがみられる。
・管内の経済動向(関東地域、7月のデータを中心として、9/16 経済産業省 公表)
 https://www.kanto.meti.go.jp/tokei/keiki/20200916index.html
 → 管内経済は、厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動きがみられる。
・商工会議所LOBO(早期景気観測、2020年8月調査、8/31 日本商工会議所 公表)
 https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2020/08/LOBO202008.pdf
 → 業況DIは、感染拡大の影響から足踏み。先行きも強い警戒感から、慎重な見方続く。
・中小企業景況調査(2020年8月調査、8/27 日本政策金融公庫 公表)
 https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/keikyo_200827.pdf
 → 2020年8月の売上げDIは、前月(▲31.9)から8.7ポイント上昇し、▲23.2となった。
・7月の中小企業月次景況調査(令和2年7月末現在、8/26 全国中小企業団体中央会 公表)
 https://www.chuokai.or.jp/keikyou/kei20-07_.html
 → 7月のDIは全9指標中、8指標が改善。
・全国小企業月次動向調査(2020年8月実績、9月見通し、9/18 日本政策金融公庫 公表)
 https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/getsuji_202009.pdf
 → 小企業の売上DI(8月実績)は、マイナス幅が拡大。
・小規模企業景気動向調査(令和2年7月期調査、8/28 全国商工会連合会 公表)
 http://www.shokokai.or.jp/cmps_img/upfiles/2020/09/a971142193344211a9bac61b90f6a529.pdf
 → 2か月連続で全業種が改善も、先行き不安な小規模企業景況。
・山梨県金融経済概観(2020年9月、9/10 日本銀行甲府支店 公表)
 https://www3.boj.or.jp/kofu/300gaikan/getu2009.pdf
 → 県内景気は、持ち直しの動きもみられるが、新型コロナウイルス感染症の影響が続き、
   きわめて厳しい状態にある。
・調査月報(2020年9月、9/14 山梨中央銀行 公表)
 https://www.yamanashibank.co.jp/economy/assets/files/No512.pdf
 → 最近の県内景気(7~8月)は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が
   続いているが、一部に下げ止まりの動きもみられる。
・TDB景気動向調査(2020年8月、9/3 株式会社帝国データバンク 公表)
 https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/202009_jp.pdf
 → 国内景気は不透明感漂うなかでわずかな回復傾向。

 

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