スポーツ少年を増やそう
毎日新聞No.583 【令和3年2月7日発行】
「鬼滅の刃」や剣道シーンが多い「半沢直樹」人気もあって、剣道に興味を持つ子どもや親が増えたという。「全集中」や「呼吸」が剣道にも通じ、「友情」「協力」「困難に立ち向かう」などのテーマが共感を呼ぶ。
本年度前半は新型コロナ感染拡大の影響で稽古は自粛せざるを得ず、大会は軒並み中止になったことで「子どもたちが何人もやめてしまった」というスポーツ少年団指導者の嘆きを聞いた。マスクや面シールド着用で安全対策を図り、稽古が再開された後半。「『鬼滅の刃』効果か、剣道を始める子どもが増えた」という声を聞くようになった。
かつて『おれは男だ!』『おれは鉄兵』『六三四の剣』などのドラマ、漫画・アニメが剣道ブームをけん引し、100人前後の少年少女剣士であふれ返る剣友会が珍しくなかったが、今回はどこまで波及するか注目したい。
山梨県スポーツ協会によると、本年度の県スポーツ少年団の登録団員数は7916人。前年度の9049人から1133人(12.5%)の大幅減となった。少子化や習い事の多様化もあり、ここ数年は年200人前後減っていたが、感染症の影響で、一気に8000人台をも割り込んだ。過去最多はかいじ国体前年度(1985年度)の1万8716人というから、現在は当時の42.3%になる。第2期県スポーツ推進計画で小中学生総数に占めるスポーツ少年団登録団員の割合を目標15%に定めたが、前年度の14.7%から13.1%へと後退している。
競技別登録者数を見ると、①サッカー②バスケットボール・ミニバス③軟式野球④剣道-のベスト4は不動だが、前年度7位の空手道が東京五輪種目となった影響か、バレーボール、複合種目を抜き5位に浮上している。
日本スポーツ少年団団員綱領は「スポーツをとおして健康なからだと心を養います」「スポーツのよろこびを学び、友情と協力を大切にします」など5項目をうたう。競技性だけを求めるなら試合や大会は重要だが、異年齢集団であるスポーツ少年団の練習や稽古参加、幅広い活動を通して学べることは決して少なくない。コロナ禍だからこそ、安全対策に留意しながら、参加を通して友情と協力の精神を育んでほしいと願う。
(山梨総合研究所 主任研究員 鷹野裕之)