誰もが学べる機会を


毎日新聞No.584【令和3年2月21日発行】

 昨年の10月下旬、新型コロナウイルスの第3波による感染拡大が進み、政府から国民に対し、年末年始休暇の分散や延長が依頼される中、文部科学大臣は公立の小中高学校について、「緊急事態宣言の影響で授業数が足りていない学校もあり、対応できない」との見解を示していた。筆者はこの発言に違和感を覚えた。このコロナ禍において、大学ではオンライン授業が普及しているのに、なぜ義務教育の学校現場にそういった体制の整備を進めなかったのか。
 現に12月下旬には感染者数が急激に増加し、18日には首都圏に緊急事態宣言が再発令された。学校は一斉休校せずに、通常通り授業が実施されているが、感染事例も出ている状況である。確かに現状、子どもが新型コロナウイルスに感染しても、無症状の場合が多く、重症化しない傾向にあるようだが、だからと言ってオンライン授業の体制整備を行わなくてよいというのは、あまりに短絡的な考え方ではないだろうか。

 筆者は義務教育でのオンライン授業について、大学のように全員がオンラインで受講することを前提とした完璧な体制である必要はないと考える。黒板と先生を映した映像と音声がリアルタイムで視聴できるだけでも十分だと思う。例えば感染してしまった無症状の子や家族が感染してしまい、自宅待機しなければならなくなった子でも、オンライン授業を受けることで、長期間の授業欠席を避け、学校とのつながりを維持することができる。また新型コロナウイルス対策としてだけでなく、例えばインフルエンザで長期間学校を休まなければならないケースや不登校となってしまった子も自宅で授業を受けることができるなど、活用できる場面は多数あるはずだ。

 ただオンライン授業の普及には端末や家庭の通信環境といった課題も挙げられる。しかし、これらの課題は現在文部科学省が進めている全生徒にパソコン等の端末を整備するGIGAスクール構想等と連携することで、解決できるはずだ。義務教育と謳いながら、大人の都合で子どもの勉強の機会を奪わないために、オンライン授業を早期に普及させてほしい。

(山梨総合研究所 主任研究員 小澤陽介