知っていますか?わがまちの計画


毎日新聞No.586【令和3年3月22日発行】

 自分が住んでいる市町村において、各種事業実施のために策定している計画が一体いくつあるかご存じだろうか。法律で策定が義務付けられているものから、自治体が独自に策定しているものまで含めるとその数は数十計画に及ぶこともあり、一般の人はもとより自治体の職員でもすべてを把握している人は少ないのではないかと思われる。

 計画は、「まちづくり」「環境」「福祉」「教育」「防災」など分野ごとに策定されたものが大半で、その分野に専門的に関わる人でなければ内容を見ても分かりづらく、日常生活をしているうえでは計画に触れることがないのも当然かもしれない。そうは言っても、計画づくりは、自治体が事業を実施していくために必要であり、時間と費用を費やして策定しているものであることから、「関係ない、知らない」ではもったいない。
 自分が住んでいる自治体が何を目指し、何をしているのかを知らないままでいると、もしかしたら、いつの間にか不利益を被ることになってしまうかもしれない。そんなことに陥ることなく、将来にわたって安心して暮らしていくためには、自治体がどのようなまちづくりをしていこうとしているのかを知ることが大切であり、私たちを取り巻く悩みや問題点を理解し、その改善に向けて作られた各種計画を確認していくことが必要となる。

 各種計画は、策定委員会等において専門家や住民など行政以外の関係者の協力のもと策定されていることが多い。また、計画の多くが各自治体のホームページ等で公開され、計画案の段階で広く意見を募集する「パブリックコメント」が実施されることも多くなっている。各自治体は、計画内容の住民への積極的な周知と策定プロセスへの住民参加等を通じて、効果の高い目標を掲げた計画を策定するとともに、策定して終わりでなく、その実現に向けて住民とともに取り組んでいくことが必要である。さらに、住民側も自分たちのまちが計画の中でどのような将来像を描き、さらに自分たちが何を求められているのかについて確認し、行動していくことが大切となる。様々な計画の策定や策定後の運用を通じて、大きな時代の変化を迎えるこれからのまちづくりを、一人ひとりが我が事として受け止め、皆で共に進んでいくことに期待したい。

(山梨総合研究所 主任研究員 河野彰夫