VOL.129 153g


 「153g」。コンビニエンスストアで販売しているおにぎりの重さが100g前後。おにぎり約1個半の重さとなる。これが何の重さかというと、「第4次廃棄物総合計画」に記載されている山梨県の人一日当たりの家庭から排出されるごみの減量目標である。この計画は、山梨県が環境への負荷の低減による生活環境の保全を目的とし、令和3年度から令和7年度までの5年間を計画期間として策定されたものである。2018年度における山梨県民1人一日当たりの家庭から排出されるごみの量は全国平均の505gを上回る590gであり、これを2025年度までに153g(25.9%)少ない437gとする行動目標となっている。

 数字だけ見ると1人が一日に出すごみの量を約分の1減らすこととなり、達成には大変な努力が必要となる数値である。計画では、ごみの処理に必要な費用の「見える化」などによるごみ発生抑制への意識の深化、食品ロスの削減を始めとした生ごみ、さまざまな用途で使用されているプラスチック類の発生抑制、市町村が実施するごみ収集の手数料有料化、再資源化の促進などが重点的に取り組む対策としてあげられている。

 私自身としても減量化に向けて、家のごみ箱を覗いてみながら何が減らせるのか考えてみた。リビングのごみ箱には、チラシやお菓子などの紙箱、袋が結構入っている。空き箱や空き袋をよく見てみると「紙製容器包装」や「プラスチック製容器包装」を示すリサイクル識別表示マークが示されている。ちなみに、花粉が多くなるこの時期になるといつも手の届く場所においてある、ボックスティッシュを裏返してみると、箱は紙製容器包装、ティッシュの取り出し口の透明のフィルムはプラスチック製容器包装と分けて記載があり、意識して箱を解体して分別すれば、小さいけれどリサイクルと減量化に繋がっていくことが分かる。また、台所を見るとシンク周りから出た野菜くずなどの生ごみや食べ残しがかなりの重さを占めていた。これは、生ごみの重量の半分以上を占めるとされる水分をしっかり切ることと、食べ残しや使い切れなかった食材を削減していくことで、ごみ袋が大分軽くなった。日常のちょっとした「ひと手間」がごみの減量化につながっていくことが実感できる。

 私たちが、生活していくうえで、必ずごみは発生し、その処理のために費用がかかり、環境にも負荷を与えるものとなる。豊かな自然環境を守り、持続可能な社会を次世代の子どもたちに残していくには、ごみの減量化と再資源化が欠かすことのできない課題となっている。しかし、その中でも現状多くの人にとってごみ分別は、手間がかかり面倒だけど行政が示した決まりなので仕方なく、分別基準に沿ってごみを出している状態ではないだろうか。人が行動を起こすには動機が求められ、続けていくには意識の深化が必要となる。ごみの減量化についても、ごみを排出するすべての人が、「なぜ」減量化が必要なのかを考え、環境への負荷の低減は、一人ひとりに課せられた課題だと理解して、「ひと手間」を惜しまず、自ら行動していくことが最も大切なことであろう。

 (主任研究員 河野彰夫)