地域に若者活躍の機会を
毎日新聞No.588【令和3年4月18日発行】
4月から自治会の組長となった。わが組は7軒しかなく、施設に入居している人もおり、5年に一度順番が回ってくる。
自治会活動の衰退が指摘されて久しい。その原因の一つは、地域の活動に参加する担い手不足だろう。組長会議への出席や地域の祭りの運営などをみると、高齢の方々が中心というのが実態である。高齢の方々の参加がいけないと言っているのではないが、活力の発揮や時代に即した新たな取り組みには、若者の突破力や発想に期待したい時もある。
多くの自治会では、子供クラブなどに参加していてもせいぜい中学生までで、その後は自治会から疎遠となり、若者が活動に参加する機会はほとんどない。親世代が代表として自治会活動に参加している世帯の若者には、自治会活動に縁がないケースがほとんどではないかと思う。
4月、私の組が月に一度の有価物回収の日の分別を行う「有価物当番」となり、今春就職した娘と大学生の息子を連れて行き、作業をさせた。帰り際に作業に参加した皆さんにご紹介したが、成長した子供の「自治会デビュー」の機会づくりは難しい。子育てママの「公園デビュー」の難しさは聞くことがあるが、「自治会デビュー」とて、ハードルは高い。
若者の自治会参加を実現していくためには、月並みながら参加機会を創り、参加意欲を高めていくことであり、参加を促す企画を若者に委ねることである。たとえば、地域のお祭りは長い期間をかけて今のスタイルで定着してきたと思うが、一部でも構わないので若者による若者が楽しめる企画を実施してもよいのではないか。「青年部」として定着している地域もあると思うが、全体としては少数だろう。
「成年の子供がいる世帯は、親世代は原則65歳になったら引退」などという強引なやり方も効果的かもしれない。こうした取り組みが軌道に乗り、子供のころから切れ目なく地域活動に参加する機会を確保し、ハードルが高い大人の「自治会デビュー」の必要がなくなるまでは時間を要しようが、自治会活動から離れている若者が地域に関心を持ち関わるようになれば、将来の自治会活動への懸念は、多少でも薄らぐことが期待できると思う。
(山梨総合研究所 専務理事 村田俊也)