女性管理職を増やすには
毎日新聞No.610【令和4年3月6日発行】
2年前のきょう、山梨県内で新型コロナウイルス感染者が初確認された。1年目の累計感染者数は延べ941人。今月1日には延べ1万7000人を超えたことから、最近1年の猛威が分かる。
コロナ禍では、負の影響がほとんどだが、中には気づかされたこと、進展した技術もある。私自身、休日は趣味の剣道で家を空けがちだったが、大会などが中止になり在宅が増えたことで、家事を家族任せにしていたことに気づいて改心した。
先日、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」によるオンラインイベントを聴講する機会に恵まれた。テーマは「山梨県の学校において、いかにして女性管理職を増やすか?」。山梨大学教育学部の鴨川明子准教授を中心に、教職大学院で学びながら教育の在り方を考える現職の男性教員らによるプロジェクトチームの研究発表会だった。
文部科学省の学校基本調査によると、山梨県の学校現場における女性管理職の割合は全国下位。県教委は持続的かつ質の高い教育の実現には、女性の力を最大限発揮してもらうことが重要として、女性の活躍推進に向けた取組計画を策定しているが、まだ緒に就いたばかりだ。
研究発表では「初任者研修におけるワークライフキャリア形成研修プログラム」の提案があった。新採用の若いうちに自身の教員としての将来像を描くことで長期的な目標を立て、それぞれの立場を理解しつつ、働き方改革やキャリアアップにつなげるというものだ。
ある教員夫妻の日常を題材に、家事分担の時間などを比較して、どこに改善の余地があるかも自分事として考えた。「夫がもっと家事の時間を増やすべき」「校務分掌会議が18時30分からというのは学校の理解がなさすぎる」などの感想が出た。
家事全般のほか育児と介護のダブルケアに追われて家庭と仕事の両立に悩み、管理職になるのをためらう女性教員が少なくないのも事実という。権利や制度について確かな情報を得ること、家庭はもちろん学校現場や社会全体が共通の理解で環境整備をしていかないと前進は難しいと感じた。
あさって8日は国際女性デー。女性がより輝ける地域に、山梨が成熟していくことを願っている。
(山梨総合研究所 主任研究員 鷹野 裕之)