変化から学びを


毎日新聞No.613【令和4年4月17日発行】

 4月も2週間が過ぎ、この度新社会人や異動となった皆さんも、新しい環境に少しずつ慣れてきた頃合いだろうか。私も社会人になってから、幾度かの環境の変化を経験してきたが、それらを振り返ってみると、自分が学びとして得たものが二つ浮かんできた。

 まず一つは、常に「なぜ」を考える、ということである。新しい仕事を覚えなければならない時、手順や方法といった、その仕事はどうやってやるのかというところに集中してしまいがちだが、この仕事はなぜやるのか、なぜ必要なのかという目的や経緯を考えることで、仕事に対する理解度が高まることが多いと感じている。また、仕事の必要性を自分自身で解釈することで、やりがいを感じることができると思う。
 二つ目は、違和感を大事にする、ということである。新しい環境に飛び込んだ時、その環境に少しでも早く慣れようと、ルールや習慣を覚え、組織に溶け込むことを最優先にするのが恐らく一般的だろう。その中では、例えば「このやり方変だな」と思っても、言葉にせず飲み込んでしまうことが多いのではないかと思う。しかし、こういった違和感は、実は新人にしか分からないものでもある。違和感は課題につながっている場合も多く、それを恐れずに示すことで、その組織に新しい風が吹くこともあるのではないだろうか。環境になじむこともとても大事だが、より良い環境にしていくために、違和感を大事にし、発信していくことも新人に期待される役割ではないかと私は考えている。逆に新人を受け入れる側の組織も、そういった声を適切に拾うことができるような心理的安全性を担保した環境づくりを推進していくことが重要である。

 環境の変化には困難も伴うが、自分の成長や学びに通じることも多い。これらは僅か10年足らずの私の社会人生活の中で得られた学びではあるが、この学びを新たな環境の中で奮闘する新人の皆さんと、それを受け入れ、ともに走る先輩の皆さんへのエールとして送りたい。

(山梨総合研究所 主任研究員 清水 洋介)