自主研究報告会(2022.5.10)を開催しました[概要報告]


 

 令和3年度の自主研究の成果報告会を山梨県立やまなし地域づくり交流センター大会議室及びZOOM配信によるハイブリッドにて開催しました。
 コメンテーターの山梨県立大学国際政策学部教授・地域研究交流センター長 安達 義通氏含め、40名と多くの方に参加いただきありがとうございました。

全体風景 コメンテーター:山梨県立大学国際政策学部教授、地域研究交流センター長 安達 義通先生

 

   令和4年5月10日(火)13301540

 場所   山梨県立やまなし地域づくり交流センター大会議室(山梨県甲府市丸の内2丁目35-1
   (ZOOM配信を併用)

 

1 やまなし未来共創プロジェクト / 主任研究員 前田 将司

 発表概要 

 令和3年度に、地域の問題解決のため、ソーシャルビジネスの創出などを支援する、産学官民金言の連携体制による新たな共創プラットフォーム「やまなし未来共創HUB」を立ち上げ、令和3年度共通テーマ「だれもが働くことで豊かさが得られる社会を目指して」のもと、「子ども『を』学び、子ども『と』学ぶ社会を創ろう!」「だれもが働きがいを感じられる社会を創ろう!」「若者が自己実現できる社会を創ろう!」の3つの地域課題のテーマでそれぞれの取り組みの成果発表を行いました。

 安達先生コメント 

 各プロジェクトを多種多様な人々のもと検討を重ね、充実した支援体制が構築されており、上手な仕組みが構築されていると思うが、失敗したと思う手段もあったはずなので、フレームワークを随時見直して欲しい。プロジェクトがどれだけ稼働していくのか、今年度以降楽しみである。

 

2 「地域資源経営」プロジェクト / 主任研究員 櫻林 晃

 発表概要 

 『地域において持続可能な経営を行うためには何が必要なのか』、アンケートやインタビュー調査による研究を重ね、「地域において持続可能な経営を行うためには大手企業とは異なる価値観(ものさし)を考えること」や「企業理念等を通じた行動により、顧客・取引先・従業員との『信頼関係』や『つながり』を構築していくこと」の重要性などについて発表しました。

 安達先生コメント 

 中小企業や持続可能な経営、新しいものさしに着目することは重要であるため、今後も山梨総研と中小企業家同友会と連携して研究を継続して欲しい。
 「持続可能な経営」を定義した上で、どれくらいの企業が地域資源経営をできているのか分析すると、有意義な成果が得られると思う。
 理念とビジョンが大事であると説明があったが、データをみると取引自体にはそこまで重視されていないことは興味深い。実は大事という企業もあると思われるので、深堀りして欲しい。
 大企業も地域貢献を行っているため、中小企業は信頼関係の作り方や人材の扱い方が違うといったところまで深堀りできると、新しいものさしの輪郭ができてくるのではないか。

 

3 SDGsの取り組み推進プロジェクト / 主任研究員 廣瀬 友幸

 発表概要 

 近年関心が高まるSDGsの実現に向けて、若者によるSDGsの捉え方や問題意識を明らかにし、学生とともにSDGsの理解を深めるために行ったワークショップや企業とのディスカッションイベントについて報告し、SDGsに限らず、与えられた様々な社会問題の情報への違和感に対して、今一度考える機会が重要であることなどについて発表しました。

 安達先生コメント 

 付箋を使ったワークショップや昆虫食、社会人との対話など学生の楽しそうな姿が見て取れる。SDGsは時期に適ったテーマであり、学生の違和感を大切にすることは有意義であった。
 雲の上のSDGsを自分事にしようというアプローチは大事であったが、イベントにおいてもう少し段階を踏んだ手段があったと思われる。

 

4 連携、共創する地域の仕組みづくり / 主任研究員 渡邉 たま緒

 発表概要 

 「自治会は今後、どうあるべきか」――。各自治体へのヒアリングや事例調査などを行い、真の問題点として住民の無関心が自治会の衰退を招いていることを明らかにし、再生には地域によって異なる実情をキャリアプランWILL/CAN/MUSTのビジネスフレームワークに当てはめて考え、ビジョン(WILL)を想定したうえでできること(CAN)、やるべきこと(MUST)を見直すことが重要ではないかと示唆しました。またそれを実行する際には、野中郁次郎氏SECIモデルの考え方を取り入れることを提案しました。

 安達先生コメント 

 野中郁次郎氏のSECIモデルをもとに考えていることは興味深い。トヨタもこのモデルを活用しており、人が集まり(合宿を行い)、仲良くなり雰囲気が醸成され、いいキャッチフレーズが出る。これが共同化から表出化の流れ。そのキャッチフレーズができればプロトタイプを作るだけで、これが連結化。プロトタイプを作ることにより、知識が体の中に蓄えられていき内面化という流れが上手く当てはまっている。
 本研究においては、共同化が場づくりであり、共同化を上手く行えば、自治会は変わると思う。ポイントは多様な人を集めること。現状高齢男性の集まりで、毎年同じことを繰り返すだけで変わらずに、衰退している。ここに共同化を取り入れ、老若男女集めて、みんなの気持ちを確かめ合って、やりたいことを聞きつつ、キャリアプランのWILLを表出化するような仕組みができれば自治会が変わっていくのではないか。

 

5 県民参加の分析、議論の場づくりによる山梨県の地域活性化研究 / 主任研究員 清水 洋介

 発表概要 

 統計やデータサイエンスの重要性が叫ばれる中、一般県民がデータに触れ、考える機会が少ないという背景から、本研究では関心のある参加者を募り、データに基づく議論の場を提供しました。報告では、議論の内容について触れるとともに、いかにして一般県民の方々がデータに触れる機会を増やしていけるのかが、今後重要になってくるということについて発表を行いました。

 安達先生コメント 

 データリテラシーの向上は県民の今後の課題であり、時期に適ったテーマであると感じた。また、議論で得られたコロナ禍ならではの解釈は今後の貴重なデータとなる。ただ、始めの一歩としては本アプローチで良かったのかもしれないが、データがある状態とない状態で議論した場合に何が違うか分析して、やはりデータが重要であることを理解してもらえるようなアプローチも良かったのではないか。

 

講評 山梨県立大学国際政策学部教授・地域研究交流センター長 安達 義通氏

 大学にはないアプローチが沢山あり、楽しく聞かせていただいた。様々な住民や団体を巻き込み、実践的・研究的・経済的・社会的と、多種多様な分野の研究があり勉強になった。また、フットワークが軽いと感じた。

 

自主研究内容は、当財団HPでご確認いただけます。
  ↓ ↓ ↓
https://yafo.or.jp/study/