山梨総研創立25周年へ


毎日新聞No.619【令和4年7月10日発行】

 昨年6月に山梨総合研究所(以下、山梨総研)の理事長に就任して1年が過ぎた。自分としては、まずは山梨総研の仕事を理解することに努め、更には、いかに地域に必要とされる研究所であるべきかを考えてきた。その上で、外部への情報発信は精力的に行ってきた。
 山梨総研は来年の4月で創立25周年を迎える。今年は25周年を迎える記念の年として、いくつかのイベントを計画している。その一つが、創立25周年記念フォーラム「これからの自治体のあり方とは?」である。これは新たに発足する「地方自治体に関する課題研究会」の第1回として開催される。

 山梨総研の業務内容は、受託研究と自主研究とに大きく分かれているが、業務の中心は受託研究である。具体的には県内の自治体からの委託調査が中心であり、例えば、各自治体の「総合計画」などの計画立案である。
 私はこれまで、地方自治体の計画策定に、大学の教員として何回か関わってきた。その際感じたことは、せっかく策定した計画が、その後の自治体運営に有効に使われていないのではという疑問であった。計画を「作る」ことに尽力しても、それを「使う」ことまでには力が行き届いていないように感じていた。
 ただ、最近は様相が変わってきている。計画には具体的な数値目標であるKPI(重要業績評価指標)やKGI(重要目標達成指標)を入れ込むようになった。KPIは目標を達成するための「過程」であり、KGIは「ゴール」にあたる。まずはKGIを決定し、そのKGIを適切に分解して戦略としてのKPIを定める必要がある。

 創立25周年記念フォーラムであるが、730日(土)に、山梨学院大学大学院社会科学研究科の協力のもと、山梨学院大学のメモリアルホールで開催される。基調講演には、現在大正大学教授で地域構想研究所長の片山善博氏にご登壇いただく。その後のパネルディスカッションには、片山氏の他に、大正大学教授の江藤俊昭氏と小菅村村長の舩木直美氏にも加わっていただく。これからの自治体のあり方を考える機会になることを期待している。

(山梨総合研究所 理事長 今井 久)