財布に地球に優しく
毎日新聞No.639【令和5年6月11日発行】
物価上昇の勢いが止まらない。ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響などによるエネルギー価格の上昇、食料品の値上がりなどから、昨年度の消費者物価上昇率は、第2次オイルショックの影響が続いていた昭和56年度以来41年ぶりとなる3%を記録した。民間の調査によると、6月も食品や飲料だけで3千品目を大きく超える値上げが実施されているそうである。
今後も様々なモノやサービスで値上げが見込まれるが、大きな影響を与えそうなのが、電気料金である。たとえば、東京電力では標準的な家庭向け料金で13%の値上げとなる(中部電力は現状、値上げの予定はない)。家計にとっては大きな痛手である。
こうしたなか、山梨県、長野県を含む自治体で、家計を補助するとともに、温室効果ガス削減促進の効果も期待して、省エネ家電の購入補助が行われている。山梨県では、エアコン、電気冷蔵庫、ガス温水機器、LED照明器具を、長野県ではテレビも対象に、一定の条件を満たす節電効果の大きい特定機種を購入すると、山梨県では3千円から6万円、長野県では2千円から8万円のキャッシュレスポイントを受け取れるというものである。適用条件などに違いはあるが、山梨県では来年2月中旬まで、長野県では今年8月までの購入分が対象となる。
こうした家電製品は、エネルギー効率が大幅に向上している。資源エネルギー庁によれば、10年前と比べると、エアコンでは17%、電気冷蔵庫では40から47%、また、照明機器では電球型LEDランプを一般電球と比べると86%も省エネとなるそうである。
家電製品は国産が少なくなり、近隣国からの輸入が大半を占めるようになったが、故障は少なく、平均使用年数はエアコンで14年、冷蔵庫では13年、テレビでも10年に及ぶ。まだ十分使える製品を最新型に買い替えるのはもったいない気もするが、これらの製品はリサイクルにより再商品化が進んでいる。
これから夏本番を迎える。コロナウイルスとの共存に社会が順応してきたことに伴い経済活動は回復が進んでおり、ボーナスは昨年に続き増額が期待できそうである。電気店の回し者ではないが、快適な生活を実現する最新型省エネ製品の購入は、財布にも地球にも優しく、対象店舗となっている地元の店で購入すれば地域の活性化にもつながるわけで、皆さんも古いエアコンや冷蔵庫の買い替えを検討してみませんか。
(山梨総合研究所 専務理事 村田俊也)