熱中症対策の確認を
毎日新聞No.642【令和5年7月23日発行】
今年も暑い夏がやってくる。気象庁は、今年の夏(7月~9月)の平均気温は、全国的に平年よりも高く、暑い夏になる可能性が高いことを発表した。既に山梨県では38℃、長野県でも35℃を観測した地点があるようだ。そんな気温上昇に伴い増加する「熱中症」に、今年はさらに気を付ける必要がある。
消防庁の「令和4年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」の発表資料によると、昨年5月から9月の全国における熱中症による救急搬送人員の累計は約7万1千人であり、一昨年同期間の救急搬送人員の約4万8千人と比べると2万3千人増となった。平成20年の調査開始以降、過去最も多い搬送人員は平成30年の約9万5千人であるが、令和4年は過去3番目に多い結果となった。今年は平年よりも気温が高くなる予想の中、既に5月の全国における熱中症による救急搬送人員は約3千6百人と、昨年5月の約2千7百人と比べると9百人多くなっていることから、昨年以上に熱中症対策を徹底する必要があることがうかがえる。また、年齢別でみると半数以上が65歳以上の高齢者となっていることから、高齢者は特に注意が必要だ。
そのための対策としては、日頃からこまめな水分補給や適切な冷房の使用を心がけることが重要だ。電気代の高騰など、冷房が使用しにくい状況もあるだろうが、節約した結果、体調不良になってしまっては元も子もない。また、冷房以外にも、保冷材や冷たいタオル等を利用して効率的に体を冷やすといったエコで簡単な暑さ対策も可能だ。最近では、手軽に使用できる持ち運び可能な小さな扇風機や、ファンがついている空調服など、室外で暑さを和らげるための冷却グッズや、暑さで寝苦しい夜を快適に過ごすための寝具関連の冷却グッズなども幅広く販売されている。
このように、冷房ひとつに限定せず複数の暑さ対策を組み合わせることで、より効果的に暑さへの対策を行うことができる。年齢を重ねるほど、暑さに対する感覚機能や体の調整機能が低下していくため、自分が感じている以上に暑さ対策の準備をしておくべきだろう。これまでの熱中症対策が十分かどうかを今一度確認し、今年の暑い夏も無理なく乗り越えていきたい。
(山梨総合研究所 研究員 藤原佑樹)