被災地支援のカタチ


毎日新聞No.655【令和6年1月21日発行】

 正月に北陸地方を襲った令和6年能登半島地震から約3週間が経過したが、被災地の復旧・復興はまだ始まったばかりである。連日報道される被災者の大変な姿に、何か支援できることはないかと考える人も多いのではないだろうか。
 令和49月に内閣府が行った「防災に関する世論調査」では「自然災害が起きた時の支援活動」の設問があり、回答としては「被災者への義援金の寄付」(41.0%)、「復興を支援するための被災地への旅行や地場産品の購入」(31.7%)、「学校、職場、NPOなどの団体が行う災害ボランティア活動に参加」(23.6%)が上位3つとなっている。一口に支援と言っても、それには様々なやり方や手段があるため、自分が良いと思ったものを選択するべきだろう。

 「まさに今、困っている人を助けたい」ということであれば、災害ボランティアとしての活動や関係団体への支援金の寄付などが考えられる。災害ボランティアは人手が足りない被災地への直接的な支援になるし、団体への支援金の寄付も、各団体の判断により被災地のニーズに応じて速やかに役立てられることから、比較的即効性がある。一方で、義援金は、名前は似ているものの支援金とはまったくの別物であり、寄付されたお金は自治体を通じて100%被災者に公平・平等に分配されるが、手続きに時間を要するため、実際に被災者の手元に届くまでにはある程度の時間が必要となる。

 また、「支援物資を送る」、「現地にボランティアに行く」などはすぐに思いつくことではあるが、宅配業者や現地の方々の負担を考えると軽々しく実行するべきではなく、「どこで受け付けているのか」、「どういった手段があるのか」などをしっかり確認して動くべきだろう。

 さらに、支援のカタチはこうした直接的なものだけに留まらない。東日本大震災の例でも分かるとおり、復旧・復興には長い年月が必要となり、そのためには周囲の人々の応援が大きな力となる。すぐには難しいかもしれないが、被災地を観光して地場産品を購入したり、ふるさと納税を行うことは中長期的には被災地の復興支援に繋がるものである。
 多くの人の“支援したい“という気持ちが届き、復旧・復興が進み、1日でも早く被災地の人々に笑顔が戻ることを願ってやまない。

(公益財団法人 山梨総合研究所 主任研究員 山本 陽介