同窓会に参加しよう
毎日新聞No.665【令和6年6月9日発行】
皆さんは、学生時代の同窓会に出席していますか。
都会と比べて地域への帰属意識の強い地方では、学生時代のつながりが重視される傾向にある。仕事での面談や、何かの縁で隣同士の席となった時、会話の中で同じ学校の同級生や先輩後輩の関係だとわかると、心の距離感がぐっと縮まり、時には先輩風を吹かしたりしたことは、誰もが経験したことがあるのでは。
地方で比較的目立つのは、高校時代の繋がりである。総会の時期が近づくと新聞や時にテレビなどでも開催の案内を見かける。
同窓会は、卒業生の親睦だけでなく、学校設備の寄贈や奨学金の支給、特別授業の開催など、様々な面で教育支援を行っている。学校側から見れば、強力な応援団で頼りになる存在であろう。
ところが、同窓会の運営を巡る環境は、以前と比べて厳しくなっていると感じている。わが母校の例では、少子化の中で卒業生は減少し、同窓会の入会者数も減少傾向にある。また、総会・懇親会などイベントへの出席者は少なく固定化し、会の運営メンバーも高齢化している。こうしたことから財政も苦しくなっている。
どこか自治会と似た風情であるが、この同窓会の復活が期待できないものか。
普段同窓会とは縁遠い若い人たちは、卒業後同級生とさえ関係が途切れてしまうケースが多いと聞く。まずはそうした横のつながりを紡ぎ直してから、ということになろうが、それと並行して卒業生に同窓会の役割や活動を知ってもらい、協力してくれる人を増やしていくことが必要だろう。愛校意識は社会の変化により希薄化していると感じるが、関心が全くないという人は少数派だと思いたい。同窓会活動の様々な情報を積極的に発信し、若い人たちが参画できる機会が増えていけば、運営に関心を持ち、携わろうという人が徐々に増えてこよう。また、こうした動きを応援する人も増え、運営資金の面でも確保の苦労は軽減されてくるのはないか。
校舎に昔の面影がなく、嫌な思い出ばかりの人もいるかもしれない。それでも、一度学び舎に足を運んでみてはどうだろう。そして、教育支援に重要な役割を担う同窓会、これからの地域の担い手づくりを支援する同窓会を、盛り上げていこうではありませんか。
(公益財団法人 山梨総合研究所 専務理事 村田 俊也)