ゴルフ×地域活性化
毎日新聞No.666【令和6年6月23日発行】
私は趣味としてゴルフを嗜んでおり、週末には妻と山梨県内のゴルフ場へ行くのが日課となっている。目標はコースを戦略的に攻略し、良いスコアを出すこととであるが思うようにはいかない。
最近の物価高騰等により、ゴルフ場のプレー料金は上昇しているが、週末の予約は難しいほどの盛況ぶりを見せている。また、若い女性ゴルファーが確実に増加していると感じる。その理由は、コロナ禍で外出やレジャーが制限される中で、ゴルフに興味がある層が、ゴルフに使えるお金と上達のための時間が増加したことや、ファッションが注目されたこと、およびインフルエンサー・有名人のSNSや動画による需要の喚起などが挙げられる。また、ゴルフが優秀な「コミュニケーションツール」として再評価されたことも一因であろう。
山梨県にはゴルフ場が多く、2021年の「体育・スポーツ施設現況調査」によると、人口10万人あたりのゴルフ場数は5.6件であり、これは栃木県の7.9件に次ぐ全国2位である。また、毎年「フジサンケイクラシック」男子プロトーナメントが行われる「富士桜カントリー倶楽部」を筆頭に、名門コースからコストパフォーマンスが良いゴルフ場まで幅広い層を取り込める環境が整っている。
この地域の特徴を地域活性化に活かすには、どのような方法があるのか。例えば、「釣りの聖地」として有名な長崎県五島市では、「ゴルフ」と「釣り」をテーマにした「五島の地域資源を活用した着地型旅行商品の造成支援事業」を行っている。この事業は、観光客増加による地域経済の活性化を目指し、「ゴルフ」と「釣り」に+αとなる「食」を組み込むことで観光資源コンテンツを確立した、全国でも注目すべき事例である。
山梨県の場合、「ゴルフ」+αを考えると、やはり「ワイン」が思い浮かぶ。ゴルフの後に、ワインを中心に地元ブランド牛や地元野菜、果物をふんだんに使ったコース料理を地元有名店で提供することで、プレミアム感をアピールすることができる。こうした山梨ならではのストーリーを加えることで、さらに地域資源の価値を高め、国内外へアピールすることも可能である。
全国的にはまだ珍しい取り組みではあるが、今後、山梨のゴルフと地域資源を融合させた取り組みが、地域経済活性化の一助になることを期待したい。
(公益財団法人 山梨総合研究所 研究員 在原 巧)